| 固体酸化物形燃料電池(SOFC)に関する研究 -火力発電代替電源として期待されるSOFCの研究開発を進めています。- |
■開発担当者
総合研究所 分散型電源グループ
南園 貴広(みなみぞの たかひろ)
| 火力発電に代わる電源装置 | ||
燃料電池とは「水素」と「酸素」を電気化学反応させて,直接「電気」を発生させる装置で,外部から水素と酸素を供給し続けることで,継続的に電力を供給することができます。火力発電など従来の発電システムと異なり,化学エネルギーから電気エネルギーへの変換途上で熱エネルギー,運動エネルギーという形態を経ないため発電効率が高く,ノートパソコンや携帯電話などの携帯機器から,自動車,民生用・産業用
コージェネレーション,発電所まで多様な用途・規模への適用が期待されています。
燃料電池は用いる電解質の違いにより固体高分子形(PEFC),りん酸形(PAFC),溶融炭酸塩形(MCFC),固体酸化物形(SOFC)の4種類に分けられます。この中で家庭用から火力発電の代替用まで幅広い応用が期待されているのがSOFCです。SOFCはジルコニアなどのセラミックスを電解質とする燃料電池で,動作温度が700~1000℃程度と非常に高いため,排熱を利用するガスタービンと組合わせた複合発電システムとすることで発電効率60%以上を達成可能であり,将来的には低環境負荷の高効率発電技術として注目されています。
国のSOFC開発はPAFCやMCFCの経験を踏まえ小規模コージェネレーションシステムから大規模火力発電代替電源へと着実にステップを踏む計画となっており,現在は
NEDOプロジェクトにおいて10~20kW級コージェネレーションシステムおよび200kW級コンバインドサイクルシステムの開発が進められています。

表1:当社のSOFCへの取組み
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| 当社のこれまでのSOFC研究への取組み | ||
当社は化石燃料の有効利用に向けた将来技術としてSOFCに着目し,1989年から研究をスタート。1991年から東陶機器株式会社と共同で円筒縦縞型セルの開発に着手し,1998年度から2000年度には東陶機器株式会社,新日鐵株式会社と共同で3kW級モジュールの研究開発をNEDOから受託しました。その後,運用許容条件の調査や耐久性に関する影響因子の検討を行うとともに,2004年度からは,株式会社日立製作所,東陶機器株式会社と共同で,20kW級コージェネレーションシステムを開発するNEDOプロジェクトに参画しています。
当社も国のSOFC開発方針に従い,まずは小規模コージェネレーションシステムの開発によりSOFCに関する自社技術を拡充,強化し,将来の火力発電代替電源の検討評価に得られた知見を活用することとしています。
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| 最近の当社のSOFC研究状況 | ||
現在の当社の研究体系は図1に示すとおりNEDOプロジェクトでのコージェネレーションシステム開発を頂点とし,それを支える単セル試験,さらにそれを支える要素研究という構成になっています。それぞれの研究概要は以下のとおりです。

図1:SOFC研究体系
(1)20kW級SOFCコージェネレーションシステムの開発
NEDOプロジェクトでは株式会社日立製作所がコージェネレーションシステムの開発を,東陶機器株式会社が高性能・高耐久性セルバンドルの開発を行っており,当社はユーザーサイドからみたシステム評価を担当しています。NEDOプロジェクトでは,2007年度までに表2のように異なる4タイプの10~数100kW級の発電システムが開発される予定です。私どものプロジェクトで開発しているものは,東陶機器株式会社が製作する「円筒縦縞型セル」を用いるものです。円筒縦縞型セルの構造は図2のとおりで,特長として平板型に比べ強度が高いこととガスシール性が高いことが挙げられます。
現在,20kW級コージェネレーションシステムの設計・製作中であり,NEDOプロジェクトの最終年度である2007年度に運転試験を行い,開発目標(発電効率40%(送電端,HHV),総合効率80%(HHV))達成をめざす予定です。
(2)単セル試験
NEDOプロジェクトで当社が担当するユーザーサイドからのシステム評価には「運転性能評価」の他に「試験条件の提示」があります。この試験条件を検討するために当所の単セル性能試験装置を用いて単セル試験を行っています。単セル試験では20kW級コージェネレーションシステムに採用する東陶機器株式会社製円筒縦縞型セルについて都市ガス中付臭剤に含まれる硫黄分などの不純物の影響や燃料電池の中で水蒸気と炭化水素から水素を取り出すための適切な改質条件の把握を行っています。
| 型式 | 出力(kW) | 開発者 | 備考 |
| コジェネ | 10 | 関西電力/ 三菱マテリアル |
ランタンガレート系 低温動作円形平板セル |
| 10 | 新日鐵/ アキュメントリクス・ジャパン |
インターコネクターレス アノードサポート円筒セル |
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| 20 | 日立/東陶/ (九州電力) |
スカンジア系 円筒縦縞型セル |
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| コンバインド | 200 | 三菱重工/ (電源開発) |
円筒横縞型セル |

(3)要素研究
SOFCは都市ガス,石炭ガス化ガス,廃棄物ガス化ガス,バイオガスなど多様な燃料に対応可能なことも大きな利点ですが,これらの燃料ガス中に含まれる硫黄などの不純物が電池性能に与える影響や燃料電池の中で水蒸気と炭化水素から水素を取り出すための適切な改質条件の把握が重要です。これらの要素レベルでの研究を九州大学や京都大学と共同で行い,得られた知見を単セル試験に活用しています。
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| 高効率発電技術として期待 | ||
SOFCは現在,システムとしての実証段階にあり,今後,耐久性や経済性などの向上,システム技術の確立が実用化に向けた大きな課題になります。実用化にはまだ時間がかかりそうですが,実現すれば画期的な発電効率を持つシステムとなり,環境にもやさしいことから,次代の発電技術として注目を浴びるものと考えています。
![]() 図2:円筒縦縞型セル |
![]() 写真1:単セル性能評価装置 |
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