サステナビリティ

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(1) 原子力の開発・利用

 原子力発電は,発電時にCO2を排出せず,エネルギー供給の安定性の面でも優れていることから,地球温暖化対策の第一歩として国際合意された削減目標を達成する現実的かつ効果的な対策です。
 一方,放射性物質を取り扱うことから事故に対して不安というご意見や高レベル放射性廃棄物の具体的な処分地や埋設技術の確認などの課題が残っています。
 しかし,これらは決して解決できない課題ではなく,九州電力としては安全性の確保を最重点とし て,社会の方々のご理解とご協力を得ながら原子力発電の開発・利用を進めていきたいと考えています。

【原子力利用率の高水準維持によるCO2排出抑制】
 原子力発電は火力発電のように発電時に化石燃料の燃焼によるCO2を発生しないため,原子力利用率を高めれば大幅にCO2排出量を抑制できます。
 九州電力は,予防保全対策や品質保証活動の一層の推進などにより,設備の信頼性を高め原子力利用率を80%程度の高水準に維持することを目指しています。
 1999年度の原子力利用率は84.0%の高水準となりました。

●九州電力の原子力利用率推移
九州電力の原子力利用率推移グラフ




【CO2排出抑制効果】
 九州電力における1999年度の原子力・新エネルギー・LNG火力などによるCO2排出抑制量は,約 4,800万トン-CO2と推計され,実際の排出量の約2倍が抑制されていると考えられます。このうち原子力発電の寄与率が最も大きくなっています。
 仮に原子力発電電力量をすべて火力発電で賄ったとすると,1999年度のCO2排出量は 約2.4倍 (5,350万トン-CO2)に増加することになります。

●九州電力のCO2抑制効果と寄与率(1999年度)
排出抑制効果

《参考》 電源別のCO2排出原単位
電源別のCO2排出原
原料の採掘・建設・輸送・精製・運用・保守等のために消費される全てのエネルギーを対象としてCO2排出量を算定しています。
(電力中央研究所報告書より作成)




参考 放射性廃棄物について

 放射性廃棄物は原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物と使用済み燃料の再処理で発生する高レベル放射性廃棄物に大別でき,管理・処分が異なります。
【低レベル放射性廃棄物の管理】

 気体状,液体状のものは処理装置による処理後,安全を確認した上で大気や海に放出します。固体状のものについてはアスファルトなどで固めた後,ドラム缶に密閉します。このドラム缶は発電所内の固体廃棄物貯蔵庫で厳重に保管した後,青森県六ケ所村にある低レベル放射性廃棄物埋設センターに輸送し,安全に埋設処分されます。
 九州電力は焼却などによる減容化に努めています。

●低レベル放射性廃棄物の処理概要
九州電力の低レベル放射性廃棄物累計貯蔵量
●九州電力の低レベル放射性廃棄物累計貯蔵量
単位:本(200リットルドラム缶)
所内貯蔵量
搬出量*
玄海原子力発電所
16,933
(16,088)
5,600
(5,280)
川内原子力発電所
8,466
(7,541)
----
合  計
25,399
(23,629)
5,600
(5,280)
1999年度末の累計(カッコ内は1998年度末)
*低レベル放射性廃棄物埋設センターへの移送分

【低レベル放射性廃棄物の埋設処分】

 低レベル放射性廃棄物埋設センターでは,鉄筋コンクリート製ピットに収納し,セメント系充てん材により固められて処分されています。

●低レベル放射性廃棄物埋設施設
低レベル放射性廃棄物埋設施設図説
【高レベル放射性廃棄物の処分】

 使用済み燃料の再処理過程で発生する高レベル放射性廃液は,ガラス素材と混ぜてステンレス製の容器の中で固め,安定した形態(ガラス固化体)にします。この高レベル放射性廃棄物は冷却のため30年~50年程度安全に貯蔵・管理します。
 最終的な処分については,地下三百メートルより深い安定した地層に処分する方針が国から示されており,今後実施主体の設立などが予定されています。

●高レベル放射性廃棄物貯蔵施設の概念
高レベル放射性廃棄物貯蔵施設の概念の図説
●高レベル放射性廃棄物地層処分施設の概念
高レベル放射性廃棄物地層処分施設の概念の図説