サステナビリティ

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(2) エネルギーの有効活用

【省エネルギー】
 火力発電所の熱効率向上や送配電ロス率低減は省エネルギーの大きな柱です。発電用燃料の使用削減となり,CO2,硫黄酸化物,窒素酸化物などの排出抑制につながります。
 九州電力は,ガスタービンと蒸気タービンの2つを組み合わせたコンバインドサイクル(複合)発電方式の採用による火力発電の熱効率向上を図るとともに,送配電線の高電圧化などによる送配電ロス率の低減に取り組んでいます。
 1999年度の火力発電所総合熱効率は40.4%となり,前年度から0.6ポイント向上しました。これは,LNGの有効利用を図るため,熱効率の高い新大分発電所(コンバインドサイクル発電方式を採用)の利用割合を増加させたことが主な要因となっています。
 送配電ロス率については,前年度と同じ5.6%となり,国際的にもトップクラスを維持しています。

●九州電力の火力発電所熱効率推移(発電端)
九州電力の火力発電所熱効率推移グラフ

●九州電力の送配電ロス率推移
九州電力の送配電ロス率推移グラフ

●火力発電所熱効率(送電端),送配電ロス率の各国比較
火力発電所熱効率(送電端),送配電ロス率の各国比較グラフ
カナダ・ドイツの熱効率は発電端
出所:環境とエネルギー(電気事業連合会)




【電力の負荷平準化】
 電気は貯められないので,電気の消費される量が最も多い夏季の昼間に合わせて電力設備をつくる必要があります。そのため,季節や昼夜間の電気の使用量格差が大きくなると電力設備の利用率が低下し,電気の生産効率が悪くなります。
 近年は,冷暖房需要の増加などによって,その格差が広がっているため,格差を小さく(負荷平準化)できれば,エネルギーの有効活用が図れます。
 九州電力は,エネルギーの有効活用を図るため,深夜電力を使う「電気温水器」,「蓄熱システム」,夏場の消費電力をカットする「ピークカット型自動販売機」などの普及拡大とともに,夜間の電気料金を割り引くなど料金制度面での電力負荷平準化対策に取り組んでいます。

●九州における1日の電気の使われ方
九州における1日の電気の使われ方のグラフ




◇電気温水器
 割安な夜間電力を使いボトムアップ効果がある電気温水器の1999年度の深夜電力契約は38.1万件(契約電力175.4万kW)となりました。

●九州電力の深夜電力契約の推移
九州電力の深夜電力契約の推移グラフ




◇蓄熱システム
 蓄熱システムは,空調などに必要な冷温熱を割安な夜間電力を使って氷や温水などの形で蓄え,昼間に利用するシステムです。
 昼間の電力を夜間に移行させる効果(ピークシフト効果)があるため,負荷平準化効果が高い方式です。
 1999年度の蓄熱システム契約件数は1,102件(負荷設備容量22.1万kW)となりました。

ピークシフトの図説
ピークシフトとは,蓄熱システムなどにより昼間の電力消費を夜間に移行させることです。
ボトムアップとピークカットの図説
a. ボトムアップとは,電気温水器などにより,夜間の電力消費の増加を図ることです。
b. ピークカットとは,昼間の電力消費の削減を図ることです。

●九州電力の蓄熱システム契約の推移
九州電力の蓄熱システム契約の推移グラフ




◇ピークカット型自動販売機
 ピークカット型自動販売機は,夏場の電力消費ピーク時 (13時~16時)に冷却運転を停止し,この時間帯の消費電力を約90%もカットします。断熱性能の強化や冷却効率の向上対策を行っているため,従来型の自動販売機に比べて年間10~15%程度の省エネルギーになります。
 九州電力は,1996年からピークカット型自動販売機の普及促進を図るため,奨励金制度による助成を行っており,累計設置台数は1999年度の36,911台を加え,10万台を超えました。

●ピークカット型自動販売機の特徴
ピークカット型自動販売機の特徴の図説
●九州のピークカット型自動販売機設置台数
九州のピークカット型自動販売機設置台数グラフ





【エネルギー利用の効率化】
 清掃工場の廃熱を利用した廃棄物発電は社会全体のエネルギー利用の効率化につながるため,これらの設備が有効活用されるように余剰電力を購入しています。
 1999年度は契約件数の増加などによって購入電力量は3億1,700万kWhに増加しました。

●九州電力の廃棄物発電からの余剰電力購入量の推移
九州電力の廃棄物発電からの余剰電力購入量の推移グラフ