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生産拠点から開発拠点へと飛躍するカーアイランド九州

マザー工場の役割を担う九州

 北部九州には、豊富な理工系人材の存在、中国や東南アジアに近い地理的なメリットなどからトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)、日産自動車九州工場(福岡県苅田町)、ダイハツ九州(大分県中津市)の工場が立地しており、2006年の年間生産台数は101万台と初めて100万台を超えました。2008年は世界的な景気後退による自動車の減産で前年を下回る見込みですが、2009年春には日産車体九州(福岡県苅田町)が自動車生産を開始する予定であること、景気が底入れすれば自動車生産も上向くことから、福岡県が掲げる北部九州の年間150万台生産の目標達成も視野に入っています。
 また、2008年8月にはダイハツ九州久留米工場でエンジン生産、トヨタ自動車九州小倉工場ではハイブリッド車の部品生産が始まっています。
 九州の新工場は最新鋭の生産設備を有しており、国内外の工場への技術指導や人材育成など、アジアのマザー工場としての役割を担っています。
九州の完成車組立工場・その他関連工場・研究所立地状況
九州の完成車組立工場・その他関連工場・研究所立地状況のイメージ
出所:九州地域産業活性化センター 「インテリジェント・カーアイランド九州構想」(当社にて一部内容変更)
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国内唯一の二輪車生産拠点・ホンダ熊本製作所

 本田技研工業は、2010年末までに二輪車生産をホンダ熊本製作所に全て移管させる予定です。同製作所は海外工場に二輪車の技術者を派遣するマザー工場として、世界の技術発信拠点となります。
 また、同社は電動二輪車の生産技術を確立しており、2010年度に販売予定の電動二輪車を熊本製作所で生産することにしています。
 同社の二輪車の生産拠点化に伴い、部品メーカーの九州進出や工場の増強も進んでおり、二輪車の生産拠点としての九州の重要性は、今後さらに高まるものと期待されます。
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九州に集う自動車部品メーカー

 九州には、自動車工場にヘッドランプ、マフラー、シートベルト等の部品を供給するサプライヤーが全国各地から進出しており、自動車部品メーカーの九州進出は、2007年には49件と過去最高となりました。
 また、九州の自動車工場では他地域からの部品の輸送費を抑えるため、系列を超えた取引が行われており、自動車部品メーカーのビジネスチャンスが広がっています。
九州地域への自動車関連部品企業進出件数推移
九州地域への自動車関連部品企業進出件数推移のイメージ
注) 進出・参入年次が判明している企業を対象とした。

出所:九州地域産業活性化センター 「インテリジェント・カーアイランド九州構想」
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自動車メーカー主導による現地調達率向上

 トヨタ自動車九州などの自動車メーカーは、部品調達のリードタイムの短縮、輸送コストの削減等のため、模擬製造ラインで社員や地場企業に専門教育を行い自動車部品の生産技術を伝授するなど、地場企業の参入に積極的に取り組んでおり、地場企業と一体となって自動車部品の現地調達率の向上を図っています。
最近の企業・団体の人材育成の取り組み(2008年3月現在)
企業・団体 時期 取り組み内容
リングフロム九州 2000年11月 アイシン九州が中心となって結成された共同受注組織で、営業力などで劣る地場の中小企業の競争力強化や技術研鑚などを行う生産連携組織。会員数は約40社。
トヨタ自動車九州 2005年3月 社内に「トレーニングセンター匠の心・技・体」開設し、模擬製造ラインなどを設けて、新入社員の基礎訓練から高技能取得のための専門教育を行うほか、地場企業の育成拠点にも活用
日産自動車 2007年4月 日産自動車九州工場内に設けられた技能伝承を集中的に訓練を行う「日産九州スキルセンター」を開設。高度技能士など資格取得の支援や外国人及び女性労働者などの支援も積極的に行っている。
トヨタ九州
モノづくり研究会
2007年7月 トヨタ自動車九州が中心となって組織した研究会。自動車関連事業の拡大や新規参入を目指す地場企業への「トヨタ生産方式」を伝授して地域的な拠点を目指す。中心はトヨタ九州他一次部品メーカー九社。
トヨタプロダクション
エンジニアリング
2008年3月
(予定)
トヨタの生産ライン設計を手がける同社が、同社技術センター内に人材育成施設「ものづくり人財育成センター」を建設。社内向けの全般的教育と地域に開放した地元メーカー及び工学系学生向けの教育も実施する予定。
出所:九州地域産業活性化センター 「インテリジェント・カーアイランド九州構想」
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頭脳拠点化が進む九州の自動車産業

 九州では、理工系で電子関係に強い優秀な人材が豊富であること、最新設備を備えた生産拠点が存在することなどから、設計・開発関連の企業立地が進んでいます。すでにデンソーテクノやトヨタテクニカルディベロップメント、アイシンコムクルーズなど、設計・開発関連の企業が進出しています。
 また、ダイハツ九州は2010年に九州大学伊都キャンパス周辺に車体設計・開発拠点の新設、トヨタ自動車九州が2010年代前半に宮田工場敷地内に車体開発拠点の新設を予定しており、九州は頭脳拠点化がさらに進むことになります。
九州の自動車・車載ソフトの設計・開発関連企業一覧(2008年8月現在)
社名 進出時期 進出場所 内容
トヨタ自動車九州 2010年代前半 宮田工場敷地内 車体開発拠点の新設
ダイハツ九州 2010年4月以降 九大伊都キャンパス近隣 車体設計・開発拠点の新設
トヨタテクニカルディベロップメント 2008年8月 福岡市博多区 車載用組込みソフトの開発
アイシン・コムクルーズ 2007年
3月、7月
福岡市博多区、
北九州学研都市
車体周りソフト開発
デンソーテクノ 2007年9月 福岡市博多区 車載用電子部品開発
エヌシーエス
(日産車体子会社)
2008年4月 福岡市博多区 生産管理ソフト開発
出所:新聞記事等より当社作成
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自動車産業と結びつきを強める九州の素材型産業

 九州の自動車産業は、エレクトロニクス化の進展により半導体産業と融合するだけでなく、素材型産業との結びつきも強まっています。
 九州を代表する鉄鋼、非鉄金属、化学などの素材型産業は、蓄積した高い技術力を活かし、自動車や半導体向けの高付加価値材を開発・生産しています。例えば、鉄鋼では従来のものより軽く耐久性もある高強度鋼板を、非鉄金属では、耐熱性や耐蝕性、高い硬度をもつファインセラミックスなどの高付加価値素材を生産、供給しています。
 これらの高付加価値製品を提供する九州の素材型産業は、供給先である自動車工場の近くに立地していることから、リードタイムや輸送コストの面で有利となり、九州の自動車産業の競争力強化に大きく貢献しています。
九州の主要用途別鉄鋼受注量の推移
九州の主要用途別鉄鋼受注量のイメージ
出所:九州地域産業活性化センター 「素材産業の新事業創造と次世代産業クラスター形成可能性調査報告書」
九州の自動車工場と素材型産業の集積状況
主な自動車部品メーカーの工場立地状況のイメージ
注1)2009年後半に操業開始予定
出所:各社ホームページをもとに当社作成

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