事業概要

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廃棄物の処理・処分

1.原子力発電所から発生する廃棄物

(1)概要

 原子力発電所の運転等に伴い発生する廃棄物には、一般の産業廃棄物の他、放射線管理区域から発生するものがあります。
 放射線管理区域から発生する廃棄物には、放射性物質が付着(汚染)したものや放射線を受けることにより放射性物質に変化(放射化)したものがあり、それらの廃棄物は放射線を放出します。
 このような放射線を放出する廃棄物は、放射線管理区域で処理を行い、一般の産業廃棄物と区別し、放射性廃棄物として安全に管理・処分しています。

(2)放射性廃棄物

 放射性廃棄物は、放射線量の低い「低レベル放射性廃棄物」と、放射線量の高い「高レベル放射性廃棄物」の2つに大きく分けられます。
 原子力発電所から発生する放射性廃棄物は、運転や作業に伴って発生する水や取り替えた部品等の放射線量の低い低レベル放射性廃棄物です。
 原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物は、気体、液体、固体状のものがあり、気体や液体は発電所内の廃棄物処理装置で処理を行い、放射性物質の濃度が、安全のために定められた国の基準に比べて、十分に低いことを確認した上で大気や海に放出しています。
 放射性物質の濃度により放出しない液体や固体の低レベル放射性廃棄物は、固型化等の処理を行い、ドラム缶に詰め、発電所敷地内の貯蔵庫で厳重に保管し、その後、埋設可能なものは、青森県六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターに搬出・埋設処分しています。
 なお、高レベル放射性廃棄物は、原子力発電所にて使用した使用済燃料を再処理工場で再処理する際に発生する放射線量の高い廃液をガラス固化したものであり、原子力発電所で発生するものではありません。

(3)放射性廃棄物以外の廃棄物

 放射線管理区域内で発生する放射性廃棄物以外の廃棄物は、人が自然界から受けている放射線量と比較しても健康への影響を無視できるくらいに極めて低い放射線を放出する「放射性廃棄物として扱う必要のないクリアランスレベル(注)の廃棄物」及び汚染や放射化していない「放射性廃棄物でない廃棄物(NR)」に分類されます。
 これらについては、一般の産業廃棄物として処分及び再利用できることが、国の制度で認められています。
 当社においても、NRについては、2021年11月より順次、産業廃棄物として処分及び再利用をおこなっています。

(注)クリアランスレベルは、人体への影響が年間10μSvに相当する放射能濃度であり、年間10μSvは私たちが自然界の放射線から受ける放射線量の1/100以下であり、人の健康への影響を無視できると国際的に認められています。

2.廃棄物の種類

(1)低レベル放射性廃棄物の種類

 原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物は、放射能レベル(放射能濃度)に応じて処分方法が定められていることから、放射能レベルにより分類を行う必要があります。
 そのため、「放射能レベルの比較的高い廃棄物(L1)」、「放射能レベルの比較的低い廃棄物(L2)」、「放射能レベルの極めて低い廃棄物(L3)」に分け、その種類に応じて処分を行います。

(2)クリアランスレベル以下の廃棄物の種類

 低レベル放射性廃棄物より放射能レベルが低く一般の廃棄物と同様に処分することができるクリアランスレベル以下の廃棄物は、「放射性物質として扱う必要のないもの(クリアランス)」と「放射性廃棄物でない廃棄物(NR)」に分類されます。
 クリアランスは、放射線量が極めて低くどのように処分や再利用がなされても人の健康への影響がないことを、国の認可・確認を得て、処分します。
 一方、NRは、原子力事業者が設置状況や使用履歴から汚染や放射化していないことを判断し、処分します。
 どちらの廃棄物も、一般の産業廃棄物として処分、または資源として再利用を行います。

廃棄物の種類

廃棄物の種類 廃棄物の例 処分方法の例
低レベル放射性廃棄物
  • 放射能レベルの比較的高い廃棄物
(L1)
使用済制御棒、原子炉内の構造物 中深度処分
  • 放射能レベルの比較的低い廃棄物
(L2)
紙、布、廃液など ピット処分
  • 放射能レベルの極めて低い廃棄物
(L3)
コンクリート、金属など トレンチ処分
クリアランスレベル以下
  • 放射性物質として扱う必要のないもの
(クリアランス)
原子力発電所の運転や解体作業に伴って発生する廃棄物 産業廃棄物として処分、または資源として再利用
  • 放射性廃棄物でない廃棄物
(NR)

(処分方法については、「4.廃棄物の処分について」にて説明しています。)

3.廃棄物の処理(低レベル放射性廃棄物)

 低レベル放射性廃棄物には、気体、液体、固体状のものがあります。
 気体や液体は発電所内の廃棄物処理装置で処理を行い、イオン交換装置やフィルター等で放射性物質を除去し、放射性物質の濃度が、安全のために定められた国の基準に比べて、十分に低いことを確認した上で、モニターで監視しながら大気や海に放出します。この放出による発電所周辺環境への影響は、自然放射線以下の値となっています。

 放射性物質の濃度により放出しない液体をアスファルト等で固型化したものや焼却炉等で処理した固体の低レベル放射性廃棄物は、ドラム缶に詰め、発電所敷地内の固体廃棄物貯蔵庫で厳重に保管します。その後、埋設可能なものは青森県六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターに搬出・埋設処分します。

低レベル放射性廃棄物の処理(玄海原子力発電所の例)

低レベル放射性廃棄物の処理(玄海原子力発電所の例)のイメージ

低レベル放射性廃棄物の処理(川内原子力発電所の例)

低レベル放射性廃棄物の処理(川内原子力発電所の例)のイメージ

(注)計画中の廃棄物搬出設備(川内原子力発電所)

 川内原子力発電所では、運転等に伴い発生した金属類等の低レベル放射性廃棄物を、青森県六ヶ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターに搬出するため、廃棄物搬出設備の設置を計画しています。
 この設備では、金属類等を圧縮減容した後にモルタルで固化し、また、圧縮減容できないものは直接モルタルで固化を行い、充填固化体を製作します。
 製作した充填固化体は、搬出前に検査を行い、検査に合格したものを同センターへ搬出します。

川内原子力発電所の廃棄物搬出設備 概略図(計画中)
川内原子力発電所の廃棄物搬出設備 概略図(計画中)のイメージ

4.廃棄物の処分について

 発電所から搬出された「低レベル放射性廃棄物」の埋設処分方法は、放射能レベルに応じて、埋設処分方法が異なります。
 放射能レベルの極めて低い廃棄物(L3)は、コンクリートピット等の人工構造物を設置せず埋設する「トレンチ処分」、放射能レベルの比較的低い廃棄物(L2)はコンクリートピット等の人工構造物を設置して埋設する「ピット処分」、放射能レベルの比較的高い廃棄物(L1)は深い地中にコンクリートトンネル等の建造物をつくり埋設する「中深度処分」を行います。
 それぞれの方法で埋設された後、生活環境に影響を与えなくなるまで安全に管理されます。

 「放射性廃棄物でない廃棄物(NR)」や「放射性物質として扱う必要のないもの(クリアランス)」については、国の制度に基づき、産業廃棄物と同様に適切に処理・処分します。また、資源としてまだ活用できるものについては、再利用を行います。

放射線管理区域から発生する廃棄物の処分方法の例

放射線管理区域から発生する廃棄物の処分方法の例のイメージ

5.固体廃棄物貯蔵実績

 玄海原子力発電所、川内原子力発電所ともに、貯蔵容量内で安全に管理しています。

玄海原子力発電所

玄海原子力発電所の固体廃棄物貯蔵実績グラフ

川内原子力発電所

川内原子力発電所の固体廃棄物貯蔵実績グラフ

6.放射性気体廃棄物放出実績

 玄海原子力発電所、川内原子力発電所ともに、管理値より低くなるように管理しています。

玄海原子力発電所

玄海原子力発電所の放射性気体放出実績グラフ

(注1)玄海2号機の運転終了に伴い、管理値を変更

川内原子力発電所

川内原子力発電所の放射性気体放出実績グラフ

7.放射性液体トリチウム放出実績

 玄海原子力発電所、川内原子力発電所ともに、管理値より低くなるように管理しています。
 なお、トリチウム以外の核種については検出限界値未満となっています。

玄海原子力発電所

玄海原子力発電所の放射性液体トリチウム放出実績グラフ

(注1)玄海2号機の運転終了に伴い、管理値を変更

PDFファイル玄海原子力発電所の運転に伴い発生する「トリチウム」について(1,446KB)