原子力発電所の安全対策
「止める」「冷やす」「閉じ込める」で、安全を確保
原子力発電は、放射性物質を周辺に出さないことが、安全確保の大原則です。そのため、原子力発電所は、「多重防護」の考え方を基本としています。
多重防護の考え方とは、第1の安全対策に加え、第2、第3の安全対策を講じておくなど、何段階もの対策を実施することをいいます。
万が一、異常が発生したときも、原子炉を「止める」、「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」ことにより、安全を確保することができます。
放射性物質を閉じ込める五重の壁
原子力発電所では、何重もの壁で、放射性物質を閉じ込める仕組みになっています。
第1の壁 ペレット
ウラン酸化物を焼き固めたもので化学的にも安定しており、大部分の核分裂生成物はペレットの中に留まります。
第2の壁 燃料被覆管
燃料を密閉する被覆管は丈夫な合金製で使用前に綿密な検査を受けますので、破損することはまず考えられません。
第3の壁 原子炉容器
もし被覆管が破損しても、燃料棒は頑丈な鋼鉄製の原子炉容器の中に収められていますので、核分裂生成物は1次系の水中にもれでるだけです。このため1次系の水の放射能濃度はたえず監視されています。
第4の壁 原子炉格納容器(鋼板)
さらに、その外側には格納容器があり、原子炉容器とその主な付属設備をスッポリ密封しています。この中の空気中の放射能濃度もたえず監視されています。
第5の壁 原子炉格納容器(コンクリート)
一番外側は、厚いコンクリートで覆われています。
原子力発電所の地震対策
地震の多いわが国では、原子力発電所の地震に対する備えは特に厳重に行われています。
原子力発電所の耐震設計は、国の原子力安全委員会が定める「耐震設計審査指針」に基づいて行われます。原子力発電所の耐震安全性は、国の厳しい審査で確認されます。
原子力発電所では、「徹底した調査」「強固な岩盤上に直接建設」「大地震を考慮した耐震設計」等によって、地震に対する安全を確保しています。