エネコミ

2015年12月配信

2015年 10月19日
今夏の老朽火力計画外停止、震災後初めて減少に転じる

◆各電力が入念な点検・補修

 運転開始から40年を経過した老朽火力発電所について、今夏(7~8月)の沖縄を除く9電力の計画外停止件数が前年同期比37件減の50件となり、東日本大震災以降初めて減少した。需給逼迫を回避するため、各電力会社が入念な点検や補修といった未然防止策を講じていることに加え、老朽火力の稼働が減っていることも要因とみられる。9電力の火力全体の計画外停止件数は今夏、同6件増の226件だった。
 9日の総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の電力需給検証小委員会(委員長=柏木孝夫・東京工業大学特命教授)の会合で、今夏の需給結果を検証した際に事務局が提示。老朽火力の夏季(7~8月)の計画外停止件数は2011年度には52件で、12年度は71件、13年度は73件、14年度は87件と増加傾向を示していた。
 一方、老朽火力の夏季発電電力量は12年度の148億キロワット時をピークに減少し、13年度に135億キロワット時、14年度に97億キロワット時、今夏は80億キロワット時となった。
 経産省幹部は老朽火力の発電電力量の減少について、「電力需要が減少し、新しい火力発電設備も設置されてきていることなどが要因」と説明した。計画外停止の減少に関しては、「老朽火力の稼働が減ってきたから、停止件数も減った面があるのでは」と分析している。
 9電力の火力全体の計画外停止数は、原子力発電の停止による火力の稼働率増加に伴い、引き続き高水準で推移した。
 226件のうち、大部分の220件は、産業保安監督部へ報告義務がない軽微なものだった。異音発生による停止など、未然防止のための早期対応も含まれている。水力なども合わせた発電設備全体をみると、供給力低下が最大になった日の停止分の合計は、9電力で同130万キロワット増の1683万キロワットだった。内訳は東日本3社が同145万キロワット増の722万キロワット、中西日本6社が同15万キロワット減の961万キロワットだった。

(電気新聞10月19日付2面)