林幹雄経済産業相と日本経団連幹部は20日、都内で懇談会を開いた。経団連の榊原定征会長(東レ相談役・最高顧問)はエネルギー政策について「経済性ある価格でのエネルギー安定供給が必要だ」と述べた上で「安全が確保された原子力発電所の再稼働を加速してほしい」と訴えた。林経産相は「新規制基準に適合した原子力発電所は再稼働を進める」と従来の立場をあらためて説明。九州電力川内原子力発電所1、2号機についても今後の着実な運転に期待を示した。
榊原会長は環境・エネルギー政策に関して、再生可能エネルギーの固定価格買取制度や温暖化対策の見直しを求めたほか国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で国益を踏まえた交渉を行うよう訴えた。経団連としても、低炭素社会実行計画に着実に取り組む姿勢を示した。
原子力政策では、榊原会長のほか、木村康副会長(JXホールディングス会長)も電気料金などを「震災前の水準に戻すべき」として早期の再稼働を求めた。山内隆司・審議員会副議長(大成建設会長)は、川内原子力の再稼働を巡って地元以外で反対運動が起きた現状に触れ、こうした実情を「国民に知らせるべき」と訴えた。
エネルギー安定供給では岡本毅・審議員会副議長(東京ガス会長)がシェールガスの重要性に言及し「資源外交がますます重要になる」と政府の取り組みに期待を示した。木村副会長は石炭火力発電所の政策についても「自主的な枠組みで対応すべきだ」と述べた。
(電気新聞2015年11月24日付1面)