政府は18日に最終処分関係閣僚会議(議長=菅義偉官房長官)を官邸で開き、科学的に有望な高レベル放射性廃棄物の最終処分地について、2016年中の提示を目指すことを決めた。まずは国民への理解活動や地域への対応を積極的に進め、原子力委員会の下に新設する専門部会で取り組みの進捗を評価する。取り組みを通じて国民や地域が科学的有望地を冷静に受け止められる環境を整えた上で示す。
最終処分の科学的有望地は総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の審議会で約1年前から検討を進めてきた。有望地の要件や基準を巡る科学的検討に一定の進捗がみられたため、「現時点のスケジュール感を示した」(経産省)。
政府は有望地の適正を「低い」「ある」「高い」の3つに分類し、色分けした地図で示す考えだ。ただ、社会科学的な観点から適性の高い地域を考える作業がまだ積み残されており、審議会で来年に議論する。
政府は科学的有望地の提示などを盛り込んだ、最終処分の新たな基本方針を5月に閣議決定。国民の理解を得るため、全国で5~6月と10月の2回にわたり、対話のためのシンポジウムを開いた。同日の最終処分関係閣僚会議では、国民理解を得るための対話活動を今後も継続し、地域への対応も充実する方針を確認した。
具体的には、地域対応の中心に立つ原子力発電環境整備機構(NUMO)の人員を増やすほか、電気事業者による地域対応の取り組みを強化する。地層処分への協力に名乗りを上げた地域に対し、具体的にどういった支援を行うかも検討する。これらの取り組みの進捗度合いを評価するための部会を、原子力委の下に立ち上げる。
(電気新聞2015年12月21日付1面)