エネコミ

2016年1月配信

2015年 12月22日
九州電力、鹿児島県主催の原子力防災訓練に参加 川内緊急時想定し対応

◆社員が要援護者支援

 九州電力は20日、鹿児島県主催の原子力防災訓練に参加し、川内原子力発電所における事故対応を確認した。全交流電源喪失、炉心溶融、周辺環境への放射性物質放出を想定し、関係機関などへの連絡やプラントでの緊急時対応を訓練。発電所敷地外では、九州電力社員による要援護者の避難支援なども確認した。
 九州電力側は、発電所、本店などからおよそ500人が参加。重大事故時の拠点として使われる発電所の「緊急時対策所」には須藤礼所長らが集まり、テレビ会議システムを用いた九州電力本店(福岡市)との情報共有や、自治体への通報連絡訓練を行った。
 訓練は、全交流電源喪失、炉心溶融、周辺環境への放射性物質放出の後、格納容器再循環ユニットによる格納容器内の自然対流冷却によって、格納容器内の圧力が低下するまでを想定して行った。報道陣には、可搬型の放射線モニタリング設備設置や、可搬型電動注入ポンプの接続などを公開。事故のシナリオとは関係ないが、放射性物質の拡散抑制に使う「放水砲」を使った訓練も初めて公開された。
 そのほか、発電所敷地外では、九州電力社員による要援護者の避難支援が、理学療法士ら立ち会いのもと確認された。当日午前は、PAZ(予防的防護措置準備区域、半径約5キロメートル圏内)の6カ所において、同社が配備している車両10台を活用しながら避難手順を確認。午後はUPZ(緊急時防護措置準備区域、半径約5~30キロメートル圏内)の3カ所で訓練を行った。避難支援には、火力の川内発電所など近隣事業所の社員が参加。専用の車両を操作しながら、車いすの要援護者を安全に乗せ、自ら車両の運転まで行った。
 また、敷地外では、緊急時の放射線教育や資機材・食料の中継を行う後方支援拠点の運営も確認。今年4月に購入した6千平方メートルの薩摩川内市隈之城用地(発電所から東に約11キロメートル)を利用し、実際に拠点を設営した。

(電気新聞2015年12月22日付2面)