エネコミ

2016年2月配信

2016年 1月14日
規制委、玄海1号機廃止措置で審査方針/非公開ヒアリングや現地調査を実施

 原子力規制委員会は13日開いた定例会合で、九州電力玄海原子力発電所1号機の廃止措置に関する今後の審査方針を示した。原則、九州電力への非公開のヒアリングと現地調査で進め、今後の変更認可申請については原子力規制庁の専決事項とした。他の事業者から廃止申請があった場合も同様の手順を踏む。委員からは運転中の炉を含む、発電所全体の安全性を考慮する必要性などが指摘された。
 規制委発足以来、廃止措置の審査に着手するのは今回が初めて。九州電力は昨年12月に廃止措置計画を規制委に申請。2029年度までに使用済み燃料の搬出を終え、43年度までに廃止措置を完了する方針だ。審査対象となるのは、1号機の原子炉と付属施設のみで、2~4号機との共用設備は除く。
 今回の申請は全体計画の基本方針のほか、設備の汚染状況調査や配管などに付着した放射性物質を洗浄する解体工事準備期間(16~21年度)に関する部分。それ以降は変更認可申請が必要で、規制委では重要な案件を除き、規制庁の専決処理とすることを決めた。
 会合の中で委員らは使用済み燃料プール内に燃料が残っている点について、廃止措置が長期にわたるため、乾式キャスクでの保管も視野に入れるべきと指摘。テロ行為などに対する安全上のリスクをいかに低減するか、運転中の炉に廃止措置が干渉しないかを確認する必要性も強調した。
 田中俊一委員長は「軽水炉のデコミッショニングは今後、大きな仕事になる。我々も事業者も十分な経験がないが、知見の共有に努めてもらいたい」と注文した。

(電気新聞2016年1月14日付2面)