エネコミ

2016年2月配信

2016年 1月27日
高レベル廃棄物地層処分「海底下」を本格検討/経産省研究会が初会合

 経済産業省は26日、高レベル放射性廃棄物の地層処分場を沿岸海底下に建設する場合の技術的課題や今後の対応策について、本格的な検討に着手した。有識者研究会の初会合を同日開催した。これまで原子力発電環境整備機構(NUMO)などが培った沿岸部の地質環境や工学的対策などの知見を基に、議論を進めていく方向性を確認した。
 「沿岸海底下等における地層処分の技術的課題に関する研究会」(主査=大西有三・関西大学特任教授)の初会合が経産省内で開かれた。地層処分や地質環境の専門家7人と関係機関、文部科学省が出席。同研究会は処分場を沿岸海底下に建設する場合の技術的課題や今後の対策の評価に特化し、処分場の候補地を絞り込むための要件や技術を検討する総合エネルギー調査会(経産相の諮問機関)のワーキンググループ(WG)と役割を分担する方針を確認した。
 会合の中でNUMOは、候補地選定から処分場建設までの検討プロセスについて沿岸部と内陸部に違いはなく、地上施設と処分場をつなぐ坑道が比較的長くなるといった沿岸海底下特有の課題に対応するための技術も基本的に整備されていることを報告した。委員からは「沿岸海底下は地下水の流速もおそらく落ち着いており、(処分場建設の可能性として)着目したのはいいこと」との意見が出た。
 総合エネ調の地層処分技術WG(座長=杤山修・原子力安全研究協会処分システム安全研究所所長)は昨年末、処分場の建設候補地として、海岸から20キロメートル以内の沿岸部の適性が高いとする中間報告をまとめた。地質環境の長期安定性と処分場の建設・操業時の安全性の観点から特段大きなリスクは確認されておらず、輸送時のリスクが相対的に小さいためで、海底下や島しょ部も候補に含まれる。

(電気新聞2016年1月27日付1面)