エネコミ

2016年2月配信

2016年 1月27日
九州電力、規制委安全審査で川内1、2号代替緊急時対策所の本設への変更を説明

 北海道電力、四国電力、九州電力の3事業者は26日、原子力規制委員会の第321回審査会合で、特定重大事故等対処施設(特重施設)に関する原子炉設置変更許可申請の概要を説明した。このうち九州電力は川内原子力発電所1、2号機の特重施設と併せて申請した緊急時対策所(緊対所)の変更についても説明。当初計画していた免震重要棟計画を見直し、代替緊急時対策所を本設とする理由を示したものの、規制委から「(当初計画と比べて安全性向上に)自信が持てるものを提出し直してほしい」などと、申請取り下げを求める指摘が相次いだ。
 特重施設は原子炉建屋などへの意図的な航空機衝突やテロ行為を想定し、常設の重要設備が機能を喪失しても安全機能を維持できるよう配備が要求される。北海道電力泊発電所3号機、四国電力伊方発電所3号機、川内1、2号機は昨年12月末から今月にかけて、3社がそれぞれ規制委に申請していた。
 会合で焦点になったのは、九州電力が特重施設と併せて申請した緊対所の変更。当初、免震重要棟を建設し緊対所を置くことを計画していたが、「免震構造について詳細検討を進めた結果、耐震構造の方が有利と判断した」として、現在使用している代替緊対所を本設に変更。同時に、隣接する地点に耐震構造の「支援棟」を設ける。支援棟と緊対所を一体運用することで、免震重要棟と同等以上の機能が確保できると主張し、今後、補正申請する考えを示した。
 これに対し規制委は「今後の補正含みで申請してくることは、審査のリソースの点からも好ましくない」(更田豊志委員)といった指摘が相次ぎ、申請取り下げを検討するよう求めた。九州電力の中村明常務は会合後、記者団に「目的は安全性向上であり、免震か耐震かは手段。検討した中で(支援棟との一体運用を)選択した」と述べた。申請取り下げを求められた点に関しては「持ち帰って検討する」とした。

(電気新聞2016年1月27日付2面)