エネコミ

2016年2月配信

2016年 2月5日
九州電力瓜生社長、規制委と意見交換/川内の耐震支援棟新設「変更、丁寧に説明」

 原子力規制委員会は3日夕、九州電力の瓜生道明社長を招いて臨時会議を開き、安全性向上への取り組みを巡り意見を交わした。川内原子力発電所の再稼働で得られた知見の他事業者との共有や原子力安全推進協会(JANSI)の重要性について確認。規制委側からは川内原子力で免震重要棟を建設せず、既設緊急時対策所近傍に耐震支援棟を新設するとした九州電力の計画変更を疑問視する意見も出されたが、瓜生社長は丁寧に説明していく姿勢を示した。
 2014年秋から原子力事業者トップとの間で行っている意見交換の一環。瓜生社長の出席は2回目で中村明取締役・常務執行役員が同席した。
 初めに瓜生社長が、川内原子力の再稼働工程で取り組んだ安全確保対策や外部への情報発信などについて報告。「常に国内外の知見を求め、自主的・継続的な活動を積み重ねることで、絶えず安全性を向上させていく」と決意を述べた。
 意見交換では、更田豊志委員が再稼働の貴重な経験を失敗も含めて共有することやJANSIとの連携強化を要請。九州電力側は他社を招いて説明会を実施しているとしたほか「WANO(世界原子力発電事業者協会)と同等のピアレビュー能力を持ってもらえば事業者間で切磋琢磨できる」(瓜生社長)とJANSIへの期待を示した。
 川内原子力の免震棟見直しを巡っては、伴信彦委員が「会社としてのイメージをダウンさせた」と指摘。瓜生社長は免震の採用実績が自社にないとした上で「(安全性が)免震と同等以上のものを提案している。そこの説明がうまくいっていない」と答えた。
 田中俊一委員長は「基本的に性能要求」としつつ「我々が納得できるものではなかったので準備不足を指摘した。地震動に耐えられるかどうか、よく検討してもらいたい」と述べた。石渡明委員も「免震棟は福島のトラブルの時も実際に使われた」と再考を求めた。
 終了後、瓜生社長は報道陣に対し、免震棟の関係で指摘された事項を検討し、規制側に説明していく考えを示した。

(電気新聞2016年2月5日付2面)