東京大学大学院の早野龍五教授と福島県立福島高校3年の小野寺悠さんが8日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で会見し、福島を含む日本各地と海外で2014年度に実施した外部被ばく調査に関する調査研究の結果を発表した。小野寺さんは調査結果として、国内外のどの地域においても、個人が被ばくする線量の平均値はほぼ同じで、どの地域でもあまり差はないと報告。参加の動機については「福島市民として、福島の人々の被ばく線量が他地域と比べてどうなのか理解したいと思った」と述べた。
調査は早野教授の指導の下、小野寺さんが所属する福島高校スーパーサイエンス部物理放射線班が実施した。日本は福島県内の高校6校のほか神奈川や岐阜など福島県外の国内の高校6校で調査。海外ではフランス3地域、ベラルーシ2地域、ポーランド7地域の3カ国12地点で調査し、国内外合計216人が調査に協力した。
計測したデータを分析し年間の推測値に換算した個人線量の結果をみると福島県内外、海外と比較しても大きな差はなかった。小野寺さんはこのことから、「現在福島県内にいる高校生は、他と比べて特に高い線量を受けているわけではない」と結論付けたとした。
また、被ばく線量が学校と自宅で線量が異なる傾向を示す場合があったが、建材の違いによるものと考えられるとした。
(電気新聞2016年2月9日付2面)