政府は9日、再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)の改正案を閣議決定し、今国会に提出した。再生可能エネの最大限の導入と国民の賦課金負担の抑制を両立することが目的。コスト効率的な買い取り価格決定方式の導入、未稼働案件を絞る設備認定制度の導入、再生可能エネ電力の効率的な流通を目指した一般送配電事業者への買い取り義務移行などを盛り込んだ。会期内の成立を目指す。成立すれば、2017年4月から施行する。電力多消費産業向けの賦課金減免制度の見直しは、先行して今年の10月1日から施行する。
30年度の電源構成(エネルギーミックス)では再生可能エネの発電電力量比率を現状比約2倍の22~24%に高める方針が示されている。一方で買い取り費用の負担は増え続けており、今年度に1兆8千億円まで達する見通し。電源構成では30年度の電力コストを現状より下げ、同費用を最大4兆円の枠内に抑えることになった。
また、一昨年の系統接続保留の発生を教訓に、系統運用をしやすくして再生可能エネを効率的に受け入れる必要性が高まった。これらの目的を達成するため、法改正で必要な見直しを行う。
一方で改正法の成立後も制度の詳細を詰める必要がある。賦課金減免水準の設定、買い取り価格の入札制度、取引市場経由を基本に複数の選択肢がある小売電気事業者への再生可能エネ電力の引き渡し方などが挙げられる。
今国会への提出法案のうち、エネルギー関連は再処理等拠出金法案と改正FIT法案が2本の柱だ。いずれも予算関連法案で、16年度予算案成立後、4月からの審議開始が見込まれる。再処理等拠出金法案は先に国会に提出されており、慣例では先に審議される。16年度環太平洋連携協定(TPP)関連法案の審議なども控える中、改正FIT法案の審議日程はタイトになっている。
(電気新聞2016年2月10日付2面)