調達価格等算定委員会は出力10キロワット未満の住宅用太陽光発電について、2019年までに家庭用電力料金の水準まで買い取り価格を引き下げる方針を明らかにした。10キロワット以上の事業用太陽光発電も産業用電力料金の水準まで引き下げることが目標。自家消費の導入メリットが生まれる形にし、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に頼らない「自立型電源」への移行を図る。
22日夕の会合で16年度以降の中期的な価格算定の方向性を示した。住宅用は19年に余剰電力買い取り期間が終わる案件が多数発生するため、その時期までに「グリッドパリティ」と呼ぶ家庭用電力料金と同等の水準に下げる。24円/キロワット時程度が目安。同日固まった16年度の買い取り価格案で、住宅用太陽光発電は東京、関西、中部エリアが15年度比2円減の31円/キロワット時(税抜き)、出力制御対応機器の設置義務がある残り7エリアは2円減の33円/キロワット時(同)となっている。
買い取り価格を下げることでシステム価格の低下も促す。システム価格が十分に安ければ、買い取り価格が家庭用電力料金の水準まで下がっても消費者、メーカーともに自家消費への移行メリットが生まれる。電気代の低減に加えて、賦課金負担や電力系統への影響の軽減も見込める。家庭の太陽光発電や蓄電池をネットワーク化して需給調整に使う仮想発電所(VPP)事業の実用化にも結び付く。
調達価格等算定委は22日夕の会合で、出力10キロワット以上の事業用太陽光発電の16年度買い取り価格を15年度比3円減の24円/キロワット時(税抜き)にする案も決めた。システム価格の低下を反映した。太陽光発電の価格引き下げは4年連続。風力発電、地熱発電など他の再生可能エネ電源の価格は据え置いた。価格案はパブリックコメントにかけて、3月中に経済産業相が正式に決定する。
(電気新聞2016年2月24日付1面)