エネコミ

2016年3月配信

2016年 2月29日
規制委安全審査、玄海の火山評価「妥当」と総括/東海第二など活断層議論

 原子力規制委員会は26日開いた第334回審査会合で、日本原子力発電東海第二発電所、日本原子力研究開発機構の研究用原子炉施設(JRR―3)、高温工学試験研究炉(HTTR)、九州電力玄海原子力発電所を取り上げた。九州電力は火山影響評価について、これまでの指摘事項に回答した。石渡明委員は「回答は妥当」と総括し、最終的な取りまとめ資料の作成を求めた。
 九州電力は阿蘇カルデラの評価について、複数の文献を基に地下のマグマだまりの有無などを説明した。一方、火山灰評価では文献・地質調査の結果から、敷地付近には認められないものの、不確かさを考慮。より安全側に判断し、敷地における層厚を10センチメートルと見積もった。
 その上で、層厚の妥当性については、敷地との距離と噴火の規模を勘案し、九重山の約5万年前の噴火を例にシミュレーションを実施。偏西風の関係で降灰量が最も多くなる8月を基本ケースに定め、(1)噴煙柱の高さ(2)風速(3)風向き――の3要素から考察した。
 結果、最も厳しい条件を当てはめた場合でも層厚は約4.5センチメートルにとどまることを確認。評価した10センチメートルを下回ることから、保守性が担保されていると主張した。
 また、約9万~8万5千年前の阿蘇山の噴火による火砕流堆積物の分布を巡り、原子力規制庁の審査官は九州電力の調査範囲が狭い点を指摘。文献を収集するとともに、特に敷地近くは念入りに調べるよう注文した。
 同日の会合ではこのほか、原電東海第二と近傍に立地する原子力機構の2施設を合同で審査。敷地周辺の活断層が議題となった。
 原電は、サイト北方を走る「棚倉破砕帯」の東縁・西縁部の性状を詳細に確認。同破砕帯の一部を「震源として考慮する活断層」と判断し、連動を想定して地震動評価に反映させる考えをあらためて示した。
 また、規制庁は2011年4月11日の地震などのデータを参考に原電が同時活動性を否定した海域の「F―1断層」とその北方陸域の断層について言及した。「応力解放のみで同時活動性を否定することは首肯しがたい」と述べ、再検討を求めた。

(電気新聞2016年2月29日付2面)