エネコミ

2016年5月配信

2016年 4月19日
[熊本地震]川内1、2号「安全上の問題ない」/規制委臨時会合、施設影響を確認

 熊本県で大規模地震が相次いでいることを受け、原子力規制委員会は18日、臨時会合を開き、九州電力川内原子力発電所など原子力施設への影響を確認した。会合後の記者会見で田中俊一委員長は、「規制委は科学技術的な判断基準に基づき稼働や停止を判断する。(稼働中の)川内1、2号機は安全上の問題はないと判断している」と述べた。川内1、2号機を念のため停止させるべきではという質問に対しては、「特段の根拠もなく停止を求めることは簡単ではない」と繰り返した。
 震源断層となった「布田川・日奈久断層帯」は川内1、2号機の新規制基準適合性審査で、マグニチュード(M)8.1、長さ92.7キロメートルの活断層として評価された。臨時会合で石渡明委員は「布田川断層帯の北側3分の2で起きており、最大M7.3を起こす断層の長さは40キロメートル程度だ」と推測。その上で、同断層帯が全て動いても川内原子力発電所で観測される地震動は「150ガル程度の揺れにしかならない」とした。
 九州電力玄海原子力発電所、四国電力伊方発電所、中国電力島根原子力発電所には使用済み燃料がプール内に保管されているが、いずれの発電所の使用済み燃料も4年以上冷却されている。更田豊志委員は「極めて冷却が進んでいる。仮に(プールの)水が抜けたとしても、対処には十分な時間的余裕がある」との認識を示した。
 会合後の会見で田中委員長は、川内1、2号機について「現状では安全上の問題があるとは判断していない」と繰り返し強調。新規制基準適合性審査では「布田川・日奈久断層帯」の見積もりを含め、「最大の不確実性を踏まえて評価している」と述べ、熊本地震により「川内原子力発電所で想定外のことが起きるとは判断していない」とした。
 一方、伊方発電所3号機では7月中の再稼働に向けて使用前検査が行われているが、原子力規制庁の担当者は「検査の予定を変更する状況にない」と話した。

(電気新聞2016年4月19日付1面)