エネコミ

2016年6月配信

2016年 5月20日
経済財政諮問会議が「骨太の方針」素案/原子力理解、国も前面に

 政府は18日夕に経済財政諮問会議を開き、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の素案をまとめた。資源・エネルギー分野では昨年の方針と比べ、省エネルギーやエネルギーの地産地消の推進、資源開発投資の促進などを強調。安全性の確保を前提に、原子力の再稼働を進める方針は昨年と同様だが、今回は「国も前面に立ち、立地自治体など関係者の理解と協力を得られるよう取り組む」と明記し、国も理解活動に積極的に取り組む姿勢を示した。
 安倍晋三首相は18日の会議で、「戦後最大のGDP(国内総生産)600兆円を目指すため、あらゆる政策を総動員していく。骨太の方針は、その羅針盤となるもの」と強調。政府は新たな成長戦略と併せ、5月末の閣議決定を目指している。
 素案では、経済成長とCO2(二酸化炭素)排出抑制の両立を図るため、「あらゆる分野で徹底した省エネルギーの推進に取り組む」と記載。小規模な再生可能エネルギーを組み合わせた分散型エネルギーシステムの構築によって、地産地消を進めるとともに、「エネルギー産業の国際展開を推進する」と記した。
 一方、原子力関連では、必要な技術開発や人材育成、国際協力を進める。さらに、「実効的な監視・検査制度の整備や、原子力規制委員会の体制強化などに取り組む」とした。
 環境分野では、市町村が主体となった森林・林業施策を進めるために必要な財源として、森林環境税(仮称)の創設を検討する方針を明示。創設時期については、「適切に判断する」との記載にとどまっている。

(電気新聞2016年5月20日付3面)