一般家庭や業務部門の温室効果ガス大幅排出削減に向け、国民への普及啓発の強化などを規定した改正地球温暖化対策推進法(改正温対法)が20日、参議院本会議で可決・成立した。今週にも公布・施行する。13日に閣議決定した地球温暖化対策計画(温対計画)と併せ、日本の2030年度削減目標「13年度比26%減」の達成を目指した対策を実行する枠組みが整った。
26%減目標を達成するには、家庭部門と業務部門でそれぞれ約4割の大幅削減を達成する必要がある。温暖化対策に「国民全体で取り組むため」(丸川珠代環境相)、改正温対法には普及啓発を強化する国の方針を明示した。
温暖化対策での国際協力の推進と、自治体間の連携の強化についても規定した。国際協力は二国間クレジット制度(JCM)の展開などを念頭に置いた。都道府県や市町村が共同で温暖化対策の実行計画を策定できるようにする。
30年度削減目標達成を目指した産業・業務・家庭・運輸など各主体の具体的な対策は、温対計画で規定した。対策の進捗度は毎年検証することにしており、「実効性」が今後の鍵になる。
50年の長期削減努力目標を巡る議論も活発化しそうだ。温対計画にはパリ協定への主要排出国の参加や、経済成長との両立などを前提に「50年までに80%の排出削減を目指す」と記載された。政府は抜本的な排出削減を可能にする革新技術の開発を重視しており、産学との推進体制をつくり上げる見込み。削減手段の一つである「炭素の価格付け(カーボンプライシング)」の是非も議論される見通しだ。
(電気新聞2016年5月23日付1面)