エネコミ

2016年6月配信

2016年 6月1日
安全審査/九州電力が玄海3、4号緊急時対策所の耐震構造への見直しで根拠示す

 原子力規制委員会は31日開いた第365回審査会合で、九州電力玄海原子力発電所3、4号機を取り上げた。九州電力は新設する計画の緊急時対策棟内に配置する緊急時対策所(緊対所)の概要を説明。免震構造から耐震構造へと見直した根拠も示した。併せて、水素発生時の原子炉格納容器への影響など、これまでの会合で出された指摘事項にも回答した。
 九州電力は耐震構造を採用した地上2階、地下2階の緊急時対策棟を新設する計画。地上1階部分に緊対所を置き、運用開始までは既に設置が完了している代替緊対所に同等の機能を持たせる。
 緊急時対策棟は標高25メートルに設置し、津波影響を防ぐ。緊対所機能の面積は620平方メートルから820平方メートルに拡張。対策要員は100人程度を収容可能で、汚染持ち込み防止区画(チェンジングエリア)もより広いスペースを確保する。会合の中で、九州電力は免震構造から耐震構造に見直した経緯・理由に触れ、免震構造の場合、実証試験や健全性評価を実施する必要から運用開始までの期間が長期化すると説明。耐震構造ではこれらを省略、少なくとも2年程度早く運開できるとした。
 一方、新規制基準で緊対所に求められる電源設備や遮蔽対策、換気機能なども報告。被ばく評価では重大事故時の対策要員の実効線量が7日間で100ミリシーベルトを超えないことを確認した。
 同日の会合ではこのほか、原子炉格納容器が最高使用圧力を超過した場合に放射性物質の閉じ込め機能を維持できるか、溶融炉心と格納容器下部のコンクリートの相互作用(MCCI)に伴う水素濃度の上昇をどう防ぐかも検証した。

(電気新聞2016年6月1日付2面)