◆免震の長所、耐震に反映
原子力規制委員会は16日開いた第369回審査会合で、九州電力玄海原子力発電所3、4号機を取り上げた。新設する緊急時対策棟内に配置する予定の緊急時対策所(緊対所)について、指摘事項に回答。免震構造から耐震構造への見直しによるメリット・デメリットを整理した。更田豊志委員は今後週1回のペースで玄海の施設側審査を開く考えを示唆した。
九州電力は前回5月の会合に引き続き、緊対所の成立性を検証。水平方向の揺れを低減したり、地震時の居住性に優れている免震構造のメリットを挙げる半面、将来的に免震装置を取り換える場合、いかに機能を維持するかを課題に据えた。
指摘のあった「建屋の分散化・小型化」については、安全性や重大事故対応の運用面の向上が困難と説明。設備を強固に設計するほか、加振試験によって検証し、機器の適切な固縛・固定を施せば、免震構造のメリットを耐震構造に反映できると主張した。
一方、緊対所の換気設備のうち、非常用の空気浄化フィルターユニットは、事故時の運転によって放射線源となる恐れがある。このため、九州電力は対策棟内の要員らの被ばく低減、竜巻荷重からの防護といった観点から、フィルターを対策棟の屋上に設置する考えを示した。
原子力規制庁の審査官からは特に緊対所のレイアウトや要員の動線に対して指摘があった。機密事項を含むため、別途非公開の審査会合で議論を続ける予定だ。16日の会合ではこのほか原子炉下部キャビティ区画の水素濃度が上昇し、爆轟(ばくごう)に至る可能性なども検討した。
更田委員は会合の中で「審査会合は比較的、期間を詰めて開催できる状況にある。少なくとも週に1回は玄海の審査をやりたい」と述べ、資料の作成状況を質問。九州電力は「準備はできているのでお願いしたい」と応じた。
(電気新聞2016年6月17日付2面)