エネコミ

2016年7月配信

2016年 6月24日
規制委安全審査、九州電力が玄海3・4号の重大事故対策を回答

 原子力規制委員会は23日開いた第372回審査会合で、九州電力玄海原子力発電所3、4号機を取り上げ、重大事故対策のコメント回答を聴取した。九州電力は原子炉格納容器内で水素が発生した場合の低減策を説明。重大事故等対処設備の一つである使用済み燃料ピット監視設備の設置方針も示した。
 九州電力は、有効性評価で導き出した冷却材喪失事故(LOCA)と緊急炉心冷却装置(ECCS)による注水失敗シナリオを巡り、溶融炉心とコンクリートが相互作用し、水素が発生するケースを検証。事態の不確かさを考慮した感度解析を実施した結果、電気式水素燃焼装置(イグナイタ)を適切に使えば、格納容器内の濃度の上昇を抑えることができると主張した。
 また、使用済み燃料ピットを監視する水位計や温度計、監視カメラなどの各設備についても、設置位置の分散、操作性などを回答した。同時に機能を損なわない設計にしたり、可搬型設備はバックアップを用意することで、基準を満たすことができるとした。原子力規制庁の審査官らは九州電力が分散させたイグナイタの設置根拠についてさらに詳しく質問。配置のほか、水素の処理能力、電源構成などは説明が不十分として、次回以降補足するよう求めた。
 規制委は、関西電力高浜発電所1、2号機の許認可手続きが完了したことなどを受け、今後は玄海3、4号機の審査に時間を割く考えを示している。更田豊志委員は同日の会合の中で、28日にも九州電力から残りの指摘事項への回答を聴取すると述べた。

(電気新聞2016年6月24日付2面)