◆施設側の指摘回答ほぼ一巡
原子力規制委員会は28日開いた第374回審査会合で、九州電力玄海原子力発電所3、4号機を取り上げた。九州電力は原子炉格納容器の過圧破損のほか、要員の体制などを示す技術的能力、重大事故等対処設備の配置根拠などを巡り指摘事項に回答した。緊急時対策所(緊対所)の運用方法などを除き、施設側審査のコメント回答はほぼ一巡した格好だ。
同日の会合で、九州電力は重大事故対策の有効性評価のうち、格納容器の過圧破損や過温破損、水素燃焼などで事象進展が厳しくなる場合の対応方針を説明。炉心溶融が早く、高圧力で推移するケースでは、作業員らが移動式大容量ポンプ車を配備する時などの被ばく線量も評価した。
技術的能力では、協力会社を含めた要員の力量管理を整理。年1回以上は必要な教育訓練を行うとともに、重大事故発生時の対応力強化を図るため、放射線防護具を使用したり、夜間・悪天候時の手順も併せて確認するとした。
原子力規制庁の審査官らは、夜間・休日に重大事故が発生した場合の必要最低限の要員数を52人とした九州電力の説明に着目。迅速に発電所に参集できるか、事故収束に必要な作業を所要の時間内に終えられるかを詳しく尋ねた。
一方、重大事故等対処設備を巡っては、化学反応によって水素を水に変える「静的触媒式水素再結合装置(PAR)」に言及。玄海ではそれぞれ5台を格納容器内に配置している。九州電力は触媒の劣化を検査で確認する計画を伝える一方、反応時の高温ガス排出で周辺機器に影響を及ぼさないかを検証した。
(電気新聞2016年6月29日付2面)