原子力規制委員会は7日開いた第377回審査会合で、九州電力玄海原子力発電所3、4号機、日本原子力発電東海第二発電所を取り上げた。九州電力は引き続き、重大事故対策の指摘事項に回答。電気式水素燃焼装置(イグナイタ)を起動する際の判断基準などを示した。原子炉設置変更許可に関するプラント側審査は最終盤に入った。原電は確率論的リスク評価(PRA)の検討結果を報告した。
九州電力は全交流動力電源喪失(SBO)に陥った場合、30分以内に主蒸気逃し弁を開けるよう体制が整えられていることを踏まえ、運転員らが適切に判断を下すための教育訓練の状況を説明した。シミュレーターによる訓練や手順書を用いた机上教育などを例として挙げた。
また炉心が損傷し、破断口から原子炉格納容器に1次冷却材が漏えいすると格納容器内の水素濃度が上昇している可能性が高いことから、水素爆発を防ぐためにはイグナイタや静的触媒式水素再結合装置(PAR)で処理する必要がある。
イグナイタの起動判断について、九州電力は事故発生から1時間以内なら速やかに起動させると説明した。一方、1時間を超えると溶融炉心とコンクリートの相互作用(MCCI)が疑われるため、格納容器圧力、PARの動作状況など、複数の情報から検討を行った上で起動作業に移るとした。
終了後、原子力規制庁の担当者は施設側審査で残る論点として、技術的能力、大規模損壊などを挙げ、公開・非公開の会合は「残り数回程度」との見方を示した。
同日の会合では、原電がPRAを巡ってコメント回答した。運転時・停止時にそれぞれ内部事象が発生し、機器の故障や人為的ミスなどで炉心損傷、格納容器破損に至るシナリオを整理。結果に基づき、事故シーケンスグループの抽出・設定根拠も詳述した。
(電気新聞2016年7月8日付2面)