4月の熊本地震で設備が損壊した九州電力の水力、黒川第一発電所について調査する技術検討会の初会合が14日、九州電力熊本支社で行われた。地震、斜面崩壊、設備損壊および発電用水の流出の因果関係について客観的に検討する。4回程度会合を開き、10月をめどに報告書をまとめる見通しだ。
14日に開かれた第1回検討会では、地震工学が専門の松田泰治・熊本大学大学院教授が座長に選任された。松田教授は冒頭あいさつで「客観性、透明性を確保しながら検討を行う」ことを強調。委員に積極的な議論を呼び掛けた。検討会委員は4人の学識者と2人の九州電力社員が務める。オブザーバーとして経済産業省、熊本県、南阿蘇村から3人が参加する。
この日は熊本支社内で黒川第一発電所の概要、発電所と周辺の被災状況など発生事象についての確認が行われ、その後、委員らは斜面崩壊現場で視察を行った。
視察で学識者からは流出した水は短時間に流出したのか、一定の時間を掛けて流出したものなのかなど、今後の検討会で扱うべきポイントについて意見が出た。
九州電力によれば、周辺3カ所の地震計データから、黒川第一発電所は前震で震度5弱、本震で震度6弱の揺れだったと算定している。
第2回検討会は8月に実施する予定。斜面崩壊メカニズムについて検討を行う。ボーリング調査などを行う2次調査は7月中に開始、9月上旬まで実施する予定。
(電気新聞2016年7月19日付2面)