鹿児島県の三反園訓知事が28日、県庁で就任会見を開いた。公約に掲げていた九州電力に対する川内原子力発電所の停止・点検の申し入れは「8月下旬から9月上旬」に行うと明言。県庁内に設置する方針の原子力問題検討委員会は、新潟など他県の例を参考にしつつ「鹿児島にふさわしい委員会をつくりたい。人選は重要で、少し時間がかかる」と述べ、発足時期の見通しは示さなかった。
元テレビ朝日コメンテーターの三反園氏は、今月10日の知事選で4選を目指した伊藤祐一郎氏を破り、初当選した。熊本地震の影響を考慮し、川内原子力を一時停止し点検するよう九州電力に申し入れることなどを公約に盛り込んでいた。
就任会見では、「原子力発電に頼らない社会の実現に一歩でも二歩でも近づきたい。そのために一生懸命努力する」と強調し、再生可能エネルギーへの転換を進めると主張した。
九州電力に川内原子力の停止・点検を「8月下旬から9月上旬に申し入れたい」と述べた。求める点検内容や、安全性をどう判断するかは「いろいろな人と意見交換しながら、合意事項、これまでの経緯を踏まえながら私自身の考えをまとめ、発表したい」とした。
停止を求める権限や申し入れの効果への認識を問われると、「権限があるかないかではなく、(熊本地震を受けた)県民の不安に応えるのがトップ。強い口調で申し入れたい」と答えた。
申し入れ後の展開は、「九州電力がどういう対応をするかを踏まえて考えたい」と述べるにとどめ、10月以降に予定される定期検査終了後の再稼働に関しては「その時点で判断したい」とした。
また、申し入れ前に、川内原子力周辺で避難道路の状況などを視察し、住民の意見を聞く考えを表明。停止する必要を認めていない岩切秀雄・薩摩川内市長や原子力規制委員長、経済産業相との会談は「今のところ予定はない」とした。
(電気新聞2016年7月29日付1面)