原子力規制委員会は18日、九州電力玄海原子力発電所3、4号機の審査が終盤にさしかかったことを踏まえ、早ければ9月上旬にも設備確認のための現地調査を実施することを明らかにした。現地調査の結果に加え、原子炉設置変更許可の補正申請書の提出を待って、本格的に審査書案の作成作業に入る見通しだ。
同日開いた第388回審査会合で明かした。原子力規制庁の担当者は会合終了後、「9月上旬にも(現地調査を)行いたい。そんなに遅くはしたくない」と強調。審査書案の策定期間については「九州電力の補正書の時期と内容がポイントになる」と述べた。
同日の会合で、九州電力は原子力事業者として発電所を運営するための体制を確認する「技術的能力」と呼ばれる審査項目を説明。発電所の運営を、(1)組織(2)技術者の確保(3)経験(4)品質保証活動(5)教育・訓練(6)有資格者などの選任・配置――の6項目に大別し、それぞれ方針を示した。
特に原子炉主任技術者など有資格者の選任・配置については、適切に行っており、今後も確保に努めたいとした。規制委からは今後本格化する玄海1号機の廃止措置と、同3、4号機の稼働に必要な要員の内訳、体制の違いなどを問う声が上がったものの、大筋で了承された。
玄海3、4号機を巡っては既に基準地震動(Ss)や基準津波(想定津波高)が決定。耐震側で大きな論点は残っていない。一方のプラント側はSsと基準津波の引き上げに伴う耐震設計・耐津波設計方針のみ。九州電力は2013年7月の申請以来、設置変更許可の補正を行っていないため準備を急ぐ。
(電気新聞2016年8月19日付2面)