原子力規制委員会は23日午後開いた第392回審査会合で、九州電力川内原子力発電所1、2号機を取り上げた。地震津波側の審議となり、九州電力は免震から耐震構造へと見直すことを表明している緊急時対策所(緊対所)の設置位置付近の地質状況を説明。追加で実施したボーリング調査の結果などを示し、直下に断層が認められないことを裏付けた。
九州電力はまず、設置許可が出た2014年9月以降に実施したボーリング調査によって新たに見つかった11本の断層について報告。いずれも連続性が乏しく小規模で、新設する耐震構造の緊急時対策棟直下には、露頭することが想定される断層が認められないことを確かめた。
また従来評価通り、活動性を考慮する断層としては相互の切断関係などから規模が大きく、地質構造を規制する敷地東部の4断層を抽出。薄片観察の新しいデータなども添え、緊対所の設置位置付近には「将来活動する可能性のある断層等はない」とまとめた。
また、周辺斜面の安定性を巡っては、周囲に対象となる斜面がないことや沈下・液状化の影響がないことを確認。基礎地盤が基準地震動(Ss)による地震力に対し、十分な安定性を有していると主張した。
規制委側は既許可と大きな変更点がないとし、「必要な検討がなされている」(石渡明委員)と総括。新しいデータなどは補正書に盛り込むよう求めた。同日午前に開かれた第391回審査会合も同じく川内1、2号機が対象となった。「特定重大事故等対処施設(特重施設)」を非公開で審議した。
(電気新聞2016年8月24日付2面)