鹿児島県の三反園訓知事は7日、福岡市の電気ビル共創館で九州電力の瓜生道明社長に対し、川内原子力発電所の即時停止・再点検を再度要請するとともに、周辺の避難道路などの確保支援策を拡充するよう求める文書を手渡した。瓜生社長は県民の不安軽減に向け「真摯に検討する」と答えた。
三反園知事は8月26日、熊本地震を受けて県民の不安が高まっているとして、県庁に瓜生社長を呼び、川内原子力の即時の一時停止・再点検や自治体の避難計画への支援などを要請した。
瓜生社長は5日、県庁を訪れ、10月以降の定期検査の際に特別点検を実施することや、要支援者避難用の福祉車両の追加配備をはじめ様々な対策を盛り込んだ回答書を提出。三反園知事は即時の一時停止に応じないことに遺憾の意を表す一方、その他の回答項目には一定の評価を与えていた。
7日、三反園知事は即時の一時停止・再点検をあらためて要請する一方、川内原子力の周辺を視察した際に避難用道路の確保・整備を求める声が多く聞かれたことや、30キロメートル圏内の避難用車両の不足に言及。「県としても努力するが、九州電力にもぜひ支援を頂けないか」と訴えた。定期検査の時期が迫っているとして、可能な限り早期の回答を要請した。
これに対し瓜生社長は「県民の皆さんの不安のさらなる軽減、原子力発電所のさらなる安全性・信頼性の向上という観点から真摯に検討する」と述べた。
その後、三反園知事と瓜生社長が個別に報道陣の取材に応じた。
三反園知事は、県民の安全を守るという強い思いで再要請に来たと強調し、早期の回答に期待を示した。九州電力が即時停止に応じるまで要請し続けるかどうかは「まずは回答の内容を見て判断していきたい」として明言しなかった。
瓜生社長は再要請について「県民の皆さんの不安の軽減には、まだ、この前の回答ではつながらないということなのではないか」と述べた。追加する対策は30キロ圏の避難用車両や避難道路がポイントとの見方も示し、「知事が視察された際の住民の声をしっかり確認しながら検討する」とした。即時停止の可能性に関しては「特別点検を徹底的にやりたい」と答えるにとどめた。
(電気新聞2016年9月8日付1面)