調整運転を行っていた四国電力の伊方発電所3号機(PWR、89万キロワット)が7日、営業運転に移行した。原子力規制庁の検査官が同日、使用前検査合格証と施設定期検査終了証を交付した。3号機の営業運転は2011年4月の定期検査入り以来、約5年4カ月ぶり。新規制基準下での営業運転は九州電力川内原子力発電所1、2号機と関西電力高浜発電所3号機に続く4基目。高浜3号機が司法判断で停止しているため、プルサーマル発電としては国内唯一となる。
伊方3号機では6日から、営業運転移行前の最終的な検査となる使用前検査の5号検査と、第13回施設定期検査の総合負荷性能検査を行っていた。これらはプラントが定格熱出力で安定的に運転できているかを確認するために実施する。
5号検査では原子炉出力や1次冷却材の温度・圧力、放射線監視装置の指示値といったデータを採取し、妥当な値かを確認。総合負荷性能検査では5号検査と共通するデータに加え、ホウ酸タンク水位、使用済み燃料ピット水位、タービンに流入する蒸気の圧力・温度などを確かめるもの。6日には検査の事前準備を進め、7日に実際のデータ採取を行った。
規制庁の検査官がこれらデータの採取状況や値を確認。7日午後4時に発電所構内の会議室で、規制庁の門野利之首席原子力施設検査官から、増田清造常務執行役員・原子力本部副本部長・伊方発電所長に合格証と終了証が交付された。
増田所長は交付後に取材に応じ、愛媛県や伊方町をはじめとする関係者らに謝意を表明。「(これで終わりではなく)きょうが新たなスタートだ。次回の定期検査まで、日々の安全・安定運転を積み重ねていく」と述べ、あらためて決意を示した。
伊方3号機は今年6月24~27日に燃料を装荷。8月12日に原子炉を起動し、同月15日に発電を再開していた。次回定期検査は17年10月までに実施する予定。
(電気新聞2016年9月8日付1面)