◆耐震構造へ見直し
原子力規制委員会は13日、免震構造から耐震構造への見直しを表明していた九州電力川内原子力発電所1、2号機の緊急時対策所(緊対所)について、設計方針を大筋で了承した。九州電力は免震構造の場合、新規制基準を満たせる設計の見通しが立たず、早期に設置することが困難な点をあらためて説明。玄海原子力発電所3、4号機の緊対所も同様に耐震構造へと変更する考えだ。
同日開かれた第399回審査会合で、九州電力は設計方針が共通する玄海3、4号機の緊対所と併せ、免震構造を採用するまでの経緯・成立性を説明。原子力規制庁の審査官からは「詳細検討を経て変更に至った経緯は理解できた」と評価する声が上がり、大筋で了承された。
九州電力は既存の免震装置を用いて設置することが困難で、想定する地震力に対し、新規制基準の要求を満たす設計の成立性を得ることができないことなどを免震構造を断念した理由に挙げた。緊対所を早期に設置することが最優先となることから、耐震構造へ切り替えたと述べた。九州電力は当初、2015年度をめどに免震重要棟を新設し、内部に緊対所を配備する計画を立て、原子炉設置変更許可を取得。その後、施工実績が少なく、工期も長期化することなどを理由に耐震構造への見直しを表明した。
計画では現在運用中の「代替緊急時対策所」は休憩所として残し、耐震構造を採用した「緊急時対策棟」を新設。両者を一体運用する。
新規制基準では免震を義務付けてはいないが、設置変更許可後の方針見直しとなったことから、規制委はこれまでの審査で、耐震構造でも同等の安全性を確保できるかなどを慎重に検討していた。
(電気新聞2016年9月14日付2面)