原子力規制委員会の助言機関である原子炉安全専門審査会(炉安審)に設置された「原子炉火山部会」(部会長=小林哲夫・鹿児島大学名誉教授)が17日、初会合を開いた。事務局は規制委が原子炉停止など行政判断を下す判断目安を策定するための基本的な考え方を提示。九州電力川内原子力発電所周辺のカルデラ火山を巡り、同社が報告したモニタリング結果の妥当性も議論した。
規制委は破局的噴火の予兆などモニタリングのデータに有意な変化があった場合、原子炉停止や燃料搬出といった行政判断を下す必要がある。同部会ではそうした判断目安を審議するほか、事業者からのモニタリング結果にも助言を与える。
初会合で、事務局の原子力規制庁は判断目安の基本的考え方を提示した。破局的噴火は中小・大規模噴火に続いて起きる可能性が高いとし、目安を(1)観測データが平常時とは明らかに異なると判断できる場合(2)中小規模の噴火が起き、極めて異常な観測データが得られた場合――の2段階に大別。地殻変動、地震活動、熱・火山ガスを火山活動の監視項目に挙げた。
出席した専門家からは「現在の火山学の知見では(予兆があっても)巨大噴火につながるかは分からない」「プロセスや海外事例を調べ、カルデラ噴火のイメージをもう少し鮮明に捉えられるようにする必要がある」といった意見が出た。
一方、九州電力が今年6月に報告したモニタリング結果も議論。同社は川内原子力から160キロメートル圏内にある5つのカルデラ火山の「活動状況に変化はない」と評価したのに対し、規制庁も「評価結果は適切」との見解を示した。
(電気新聞2016年10月18日付1面)