経済産業省・資源エネルギー庁は18日、高レベル放射性廃棄物処分の「科学的有望地」という表現を見直すことを決めた。同日開かれた総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の放射性廃棄物ワーキンググループ(WG、委員長=高橋滋・法政大学教授)で提案し、了承された。最終処分地としての適性が保証されているかのような誤解を招く恐れがあるとの判断で一致した。
エネ庁は最終処分法に基づく調査の前段階として、地下深部の科学的な特性を表す全国マップを年内に提示する方針。法定調査の候補対象になり得るかどうかを示すもので、これまで科学的有望地と呼んでいた。しかし、「処分地の受け入れを強要するかのような誤った印象を与える」といった指摘は多方面から上がっていた。
同WGは「受け手の目線に立った情報提供に努めることが重要」との見解で一致し、見直しを決めた。マップは「適性の低い地域」「適性のある地域」「より適性の高い地域」の3段階に色分けされる予定だったが、これらの表現も変更する。
今回の会合では「科学的有望地」の選定基準・要件から、土地利用の容易性などの社会科学的観点を除外する方針も正式に決めた。安全性に関する理解を醸成することが先決との認識で一致した。全国マップは、地層処分技術WG(委員長=杤山修・原子力安全研究協会技術顧問)で検討した地球科学的・技術的観点に絞って色分けされる。
このほか会合では、原子力委員会放射性廃棄物専門部会がまとめた評価報告書に従い、国民や地域との対話活動や研究開発体制を充実させていく方向性を確認した。原子力発電環境整備機構(NUMO)の近藤駿介理事長は「(原子力委の指摘を)重く受け止め、事業活動に着実に反映させていく」と述べ、既に検討に着手したことを報告した。
(電気新聞2016年10月19日付2面)