エネコミ

2016年11月配信

2016年 10月20日
九州電力が幹部会議/瓜生社長「顧客の声を出発点に」需要開拓を推進

 九州電力は19日、福岡市の本店で、2016年度下期経営幹部会議を開催した。貫正義会長、瓜生道明社長をはじめ、役員、本部長、支社長ら36人が出席。玄海原子力発電所の再稼働、電力小売り全面自由化への対応など重要課題を巡って意見を交わし、認識を共有した。瓜生社長は低圧顧客の離脱増加を踏まえ、顧客の要望を的確に聞き取り対応していく重要性を訴えた。
 冒頭、貫会長は、原子力再稼働や小売り全面自由化に関する日頃の取り組みに謝意を表明。電力システム改革に対し「これまで以上のスピードと柔軟性を持って対応するようお願いしたい」と述べた。
 続いてあいさつした瓜生社長はまず、4月の熊本地震の際に復旧作業に携わった関係者の労をねぎらった。
 その上で、経営環境の認識として原子力に言及。川内原子力発電所1号機が定期検査に入り、鹿児島県知事の要望を受けた特別点検を実施していることや、玄海3、4号機の新規制基準適合性審査対応の見通しなどを説明した。
 財務状況については、電力各社の中で最低水準の自己資本比率に強い危機感を示し、5年ぶりの通期黒字となった15年度に続く16年度の黒字は必達目標だと強調した。
 小売り全面自由化への対応では、「顔の見える営業」や新サービス「九電あんしんサポート」、電化営業などにより、離脱防止と需要開拓を進める考えを示した。ガス小売事業の登録申請を行うことにも触れた。
 電気の価格以外の付加価値を考えていく上で、顧客の声を聞くことが出発点とも指摘。要望をどうすれば実現できるかという発想に立ち、「各支社がエリアごとの特性を踏まえながらしっかり話を聞いて、支社のみで対応が難しいものは本店に提言してほしい」と呼び掛けた。
 今後の重点取り組み事項としては、本体とグループ会社のノウハウの結集による新事業の創出、原子力情報の迅速・正確な発信、組織力強化などを挙げた。
 瓜生社長は最後に、職場における安全意識とコンプライアンスの徹底を要請した。さらに、30年に『日本一のエネルギーサービス』を提供する企業グループになるという目標に向けて、「一歩一歩前に進む世界をつくって頂きたい」と語った。

(電気新聞2016年10月20日付1面)