鹿児島県の三反園訓知事は11日、九州電力川内原子力発電所1号機の「自主的な特別点検」の実施状況を視察した。京都大学原子炉実験所の宇根崎博信教授、九州大学大学院工学研究院の守田幸路教授と県職員が随行し、代替緊急時対策所(緊対所)の通信設備の機能確認や使用済み燃料を保管するためのラックに変形がないことを水中カメラで点検する作業などを視察した。また、視察終了後に報道陣の質問に応じた三反園知事は、「定期点検ではない特別点検を行うことに意味がある」と語り、特別点検が県民の不安軽減に貢献しているとの認識を示した。川内原子力の再起動については「知事の権限ではない」とし、事実上容認する姿勢を示した。
視察を行った緊対所では、九州電力社員に対して三反園知事が「この建物はどれくらいの震度に耐えられるのか」と尋ね、九州電力社員が基準地震動で620ガルまで耐えられると説明すると顔を曇らせて「震度でいうとどのくらい耐えられるのか」と繰り返す場面もあった。
九州電力は、11日に特別点検10項目のうち9項目を完了したことになるが、熊本地震の影響は確認していない。県の担当者によると随行した専門家からは、「しっかり点検が行われており、九州電力は要請に真摯に対応している」との意見があった。
県に新たに設ける「原子力問題検討委員会」について、三反園知事はメンバーは既に固まっていると説明。「検討委が川内原子力に安全上の問題があると判断した場合には九州電力側に厳しい対応をとる」と話したが、検討委の設置時期は明言しなかった。
(電気新聞2016年11月14日付1面)