政府は22日、都内で開いた「玄海地域原子力防災協議会」で、九州電力玄海原子力発電所周辺地域における原子力災害時の住民避難計画が、具体的・合理的であることを確認した。時期は未定だが、計画は政府の原子力防災会議に了承を諮る。半径30キロメートル圏内の住民約26万3千人を対象にした避難計画を内閣府が中心となって策定。離島対策が課題だったが、今回はUPZ(緊急時防護措置準備区域、半径約5~30キロメートル圏内)内に存在する20離島について、放射線防護措置などを定めた。
協議会は内閣府、環境省、佐賀県、長崎県などの関係省庁・県で構成。オブザーバーとして佐賀県玄海町、唐津市、長崎県松浦市など周辺市町と九州電力が参加した。
PAZ(予防的防護措置準備区域、半径約5キロメートル圏内)の玄海町、唐津市の住民は自家用車のほか、自治体配車のバスで佐賀県小城市、白石町などの避難所に移動する。両自治体のPAZ避難対象者約6900人のうち約5700人が自家用車で避難。残りがバスを使う想定で、車両・運転手など輸送能力も確保した。
全面緊急事態となった場合、PAZは即時避難する一方、UPZは屋外行動がリスクを増やす恐れもあるため屋内退避する。その後、緊急時モニタリングの結果に基づき、1週間以内を目安に一時移転を行う。
同地域はUPZに離島を抱えるが、一時移転が必要となった場合に備え海路を確保する。悪天候などで島外に出られない場合は放射線防護対策施設で屋内退避を続ける。施設は現在整備中。本土との架橋がないなどの理由で陸路避難できない16離島が対象で、来年度中に全て完成する見込み。
(電気新聞2016年11月24日付1面)