エネコミ

2016年12月配信

2016年 11月29日
[特集]電力各社の供給力(火力・原子力)(4)原子力発電所を巡る動き

◆玄海3、4号が審査に「合格」/BWR陣営、Ss確定も

 原子力規制委員会は今月9日、九州電力玄海原子力発電所3、4号機の「審査書」案を取りまとめた。事実上の審査合格を果たしたのは同社川内1、2号機、関西電力高浜3、4号機などに続き5発電所10基目。ただ、現状ではいずれもPWR(加圧水型軽水炉)プラントに限られている。東京電力柏崎刈羽6、7号機などBWR(沸騰水型軽水炉)陣営は依然足踏み状態が続くが、基準地震動(Ss)が確定するケースも出始めた。
 玄海3、4号機は蒸気発生器(SG)を4基備える「4ループ」プラント。こうした炉型が審査を通過するのは今回が初めて。また、今月16日には40年超運転を目指す関西電力美浜3号機に運転延長認可が下り、一連の許認可手続きが全て完了した。認可は高浜1、2号機に続き2例目。
 PWRではこのほか、北海道電力泊3号機が最終盤に差し掛かっていたが、立地する積丹半島西岸地形の隆起の成因を巡る議論が再燃。規制委は10月下旬に現地調査を行ったが結論には至らず、他地域の海岸地形との比較などデータを積み増すよう求めた。プラント側では防潮堤の液状化対策も争点に浮上しており、対応が迫られる。
 BWR陣営で先行していた柏崎刈羽でも、地盤の液状化が尾を引いている。東電は指摘された荒浜側(1~4号機側)の地盤改良には時間がかかると判断し、緊急時対策所(緊対所)の設置場所を3号機原子炉建屋から5号機原子炉建屋に見直す方針。6、7号機と距離が近くなるため、規制委は要員の被ばく線量やアクセスルートの妥当性などを再検証する。
 一方、日本原子力発電東海第二は審査のヤマ場の一つとなるSsがBWRプラントとしては柏崎刈羽に続いて確定。東北電力女川2号機も目前に迫る。中部電力浜岡4号機、中国電力島根2号機は敷地周辺の活断層評価などで詰めの議論が残っている。

(電気新聞2016年11月29日付7面)