広島地方裁判所(吉岡茂之裁判長)は30日、広島市などの住民4人による四国電力伊方発電所3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請を退けた。伊方発電所の再稼働を巡る仮処分申請や訴訟で司法判断が示されるのは今回が初めて。四国電力は「妥当な決定を頂いた。今後とも安全・安定運転に向け不断の努力を重ねていく」とのコメントを出した。
地裁の決定は、福岡高裁宮崎支部による2016年4月の抗告審決定を踏まえ、新規制基準や審査の判断に不合理な点がないかという観点から審査を行うとした。その上で基準地震動や基準津波の策定、火山事象の影響による危険性の評価といった各争点について「規制委の判断に不合理な点はない」と結論づけた。
四国電力は地裁に対し28通・約千ページの書面と317通・約1万9600ページの疎明資料を提出。伊方発電所の基準地震動は中央構造線断層帯の性状など地域特性を適切に反映しており過小評価ではないと主張し、3号機の安全性は十分に確保されているとしていた。
広島地裁への仮処分申請は広島市の住民3人が16年3月に行った。伊方発電所を巡っては、松山、大分の2地裁と山口地裁岩国支部にも同様の仮処分申請がなされている。松山地裁は既に審理を終えた。山口地裁岩国支部に本訴を提起する動きもある。
決定後、債権者側(申立人)は「司法に我々の思いが届かなかったのは非常に残念」と述べた。代理人弁護団長の河合弘之弁護士は会見で、「今回の決定は到底許すわけにはいかない。即時抗告する」と表明、徹底的に争う構えをみせた。
(電気新聞2017年3月31日付1面)