エネコミ

2017年5月配信

2017年 4月18日
規制委臨時会議、九州電力・瓜生社長と意見交換/組織改正概要など説明

 原子力規制委員会は14日夕、九州電力の瓜生道明社長を招き臨時会議を開催した。安全文化醸成をはじめとする安全性向上をテーマに田中俊一委員長ら委員5人と意見交換した。瓜生社長は同社が4月1日付で行った組織改正の概要や、2016年2月に行われた前回の規制委員との意見交換後に実施した自主的取り組みについて述べた。
 14年秋に始まった規制委員と原子力事業者トップとの意見交換は17年度の今回から3巡目に入った。瓜生社長の出席は3回目で、中村明取締役・常務執行役員・原子力発電本部長が同席した。
 瓜生社長は4月に実施した組織改正について、社長直轄組織として「原子力発電本部」「原子力監査室」を設置したことなどを紹介。「安全の追求と透明性の向上、地域の皆さまの安心につながる業務運営・組織になることが主眼だ」と説明した。
 また安全・安心に向けた最近の自主的取り組みでは、熊本地震を受け、鹿児島県の要請で実施した川内原子力発電所の特別点検や、原子力安全推進協会(JANSI)再稼働ガイドラインの有効活用、地震・火山の観測体制強化などを挙げた。
 瓜生社長は「地道な日々の改善を一つ一つ丁寧に実施していくことが重要。これらの取り組みを通じ、原子力の安全性向上に向けた思い、考え方を関係会社の社員含めて一人一人の意識レベル、腹の底に落ちるようにしていきたい」とあらためて決意を述べた。
 田中委員長は、新規制基準の厳しさや、最近の緊急時活動レベル(EAL)の見直し論議を踏まえ、「『規制からの押し付け』とならないよう、自分たちのため、結果的に職場を守るための初期投資と思って(安全性向上に)取り組んで頂きたい」と要望した。
 更田豊志委員は、新知見のバックフィット適用について、検討案の段階では規制要求が過剰になる可能性に言及。その上で、「発電所を動かす現場が要求について思うことがあれば、公の議論の場で言ってほしい」と述べ、透明性の高い規制づくりに期待した。瓜生社長も「そのような対応ができれば、フランクな議論ができるのではないか」と応じた。

(電気新聞2017年4月18日付2面)