佐賀県の山口祥義知事は19日、九州電力玄海原子力発電所を視察し、電気式水素燃焼装置(イグナイタ)、移動式大容量ポンプ車や放水砲などの安全対策設備を確認した。九州電力の今村博信執行役員・原子力発電本部玄海原子力発電所長が山口知事に対し丁寧に説明を行い、瓜生道明社長も同行した。山口知事による視察は2015年1月以来2回目。視察後に行われた意見交換で瓜生社長は、東京電力福島第一原子力発電所事故のような事故は「絶対起こしてはならない」と決意を語るとともに、山口知事が九州電力に対して求めてきた3つの要請事項を踏まえた取り組みについて説明した。意見交換終了後に報道陣の質問に応じた山口知事は「(瓜生社長の)強い安全に対する思いを伺うことができた」と話した。
視察終了後に行われた意見交換で瓜生社長は知事の要請に応えるために(1)企業活動の透明化(2)組織風土・社員意識の改革(3)危機管理体制のさらなる充実――の3点に取り組んでいると説明。過去のコミュニケーションに関する問題にも言及しながら、風通しのよい職場づくりに取り組んでいると話した。また「原子力が内在するリスクはゼロにはならない」という意識でリスクコミュニケーションを図る必要があるとの考えを示した。
山口知事は視察結果や瓜生社長の説明を踏まえて九州電力の取り組みに対する評価を「総合的に考えたい」と話した。佐賀県は近く世耕弘成経済産業相の玄海原子力の視察や知事との面談を行う方向で調整中。早ければ4月中にも知事が玄海再稼働に関する同意判断を行うとの見方がある。
(電気新聞2017年4月20日付2面)