政府の「電力需給に関する検討会合」(座長=菅義偉官房長官)は12日の会合で、2017年度夏季(7~9月)の電力需給対策を正式に決定した。10年に1回程度の猛暑を想定した場合でも、東・中西日本の各ブロック単位で、安定供給に最低限必要な供給予備率3%以上を確保できる見通し。このため、昨冬に続き、節電への協力要請は見送る。
沖縄を除く全国9エリアの今夏の供給予備率は7月が8.0%、8月が7.5%、9月が10.1%。期間中、最も供給予備率が低下することが予想される東北、東京、中部の各エリアでも、電力広域的運営推進機関(広域機関)による電力融通に頼らず、3%以上を確保できる見込み。
節電要請は実施しないが、火力への依存が常態化するといった電力供給上の問題を踏まえ、電源脱落などに対応できるよう需給逼迫への備えを強める。電気事業者には、火力を中心に発電設備の保守・保全を徹底させ、デマンドレスポンスなど需要面での取り組みも促す。
広域機関に対しては、エリア内の需給状況を改善する必要があると認められた際、速やかに他の電気事業者に融通を指示するなどの措置を講じるよう求める。産業界や一般消費者と一体となった省エネキャンペーンに取り組むほか、需給状況など国民向けの情報発信も強化する。緊急時は「需給逼迫警報」を発出し、節電への協力を要請する。
経済産業省・資源エネルギー庁では、節電協力の要請を見送ったことについて、「国民に節電マインドが定着し、供給力も設備の保守・保全を行えば確保できるめどがついたため」と説明している。
(電気新聞2017年5月15日付2面)