九州電力は太陽光発電出力予測システムを新たに導入し、9月をめどに本格運用を開始したい考えだ。既に4月から試験運用を始めており、現在はデータ収集を通じて予測システムの精度の確認を行っている。同社は、これまで気象会社から提供を受けた日射量データによる予測を行っていた。これに加え、気象データなどから独自に算出する手法を取り入れる。状況に応じて予測手法を使い分けることで、精度をより高めたい考えだ。
九州電力エリアでは太陽光発電が急速に普及。既に日中の電力需要に対して70%を超える太陽光出力が発生した実績もある。一方で太陽光発電は気象状況の影響を受け、実際の出力が予測値から大きく振れることがある。需要と供給のバランスが崩れると安定供給に支障を来すことになるため、予測精度をより高めることが喫緊の課題となっている。
5月5日は午前4時時点の予想に比べて、太陽光出力が最大200万キロワットほど上振れした。午前8時頃から出力が予想を上回り始めたため、九州電力は火力発電を抑制するなどの対応をとった。
九州電力送配電カンパニー電力輸送本部の本郷賢和副部長兼運用計画グループ長は、現在の予測精度について「誤差が大きい」と話し、誤差を見込んだ上で需給運用を行っていると説明。今後、予測精度を高めていく必要性があるとの認識を示す。
九州電力は将来を見据え、2015年度から「再生可能エネルギー出力制御システム」を東芝などと構築。出力予測システムもサブシステムの一つとして、三菱電機と開発を進めてきた。
(電気新聞2017年5月26日付1面)