エネコミ

2017年6月配信

2017年 6月2日
九州電力エリア、太陽光比率が一時76%に/今秋にも出力抑制の可能性

 九州電力エリアで電力需要に占める太陽光発電の割合が急増している。九州電力が公表した需給実績によると、4月23日午後1時に太陽光の出力が607万キロワットに達し、需要(800万キロワット)の76%を賄った。春・秋の軽負荷期は需要に占める太陽光の割合が増える。まだ九州本土での出力制御は行われていないが、太陽光の接続量は今後も増加するため、今秋にも実施される可能性が高まっている。
 4月23日午後1時に記録した太陽光の出力と比率はそれぞれ過去最高となった。九州電力は前日夕方に作成した需給計画に基づき、太陽光の出力増に備えて揚水発電所の上池水位を事前に下げる対応を実施。当日は揚水発電所の揚水運転や火力発電所の出力調整を行ったほか、他社火力電源からの購入を抑制し、太陽光出力のピークを乗り切った。
 昼から夕方にかけては太陽光出力が徐々に低下。太陽光の減少分を補うため揚水発電所の揚水運転の停止や、起動時間の短いLNG(液化天然ガス)コンバインドサイクル発電所の活用などによって、需給バランスを保った。
 太陽光が需要に占める割合は、ゴールデンウイーク(GW)期間中の4月30日午後1時にも73%を記録した。需要は770万キロワット、太陽光出力は565万キロワットだった。九州全域が晴天に恵まれたことなどから太陽光出力が増加した。
 こうした需給運用には太陽光の出力をより正確に予測することが欠かせないが、誤差が生じることが少なくない。5月5日は同日午前4時の予想に比べて最大200万キロワット程度、太陽光出力が上振れした。同日午前8時頃から出力が予想を上回り始めたため、九州電力は火力発電を抑制するなどの対応をとり需給バランスを維持した。
 同社は今後、出力予測の精度向上を目指し、気象データなどから独自に算出する手法を新たに導入。4月から試験運用を始め、9月の本格運用開始を目指している。
 出力制御は需給のバランスを維持し、安定供給を維持するために行われる。火力発電の抑制や揚水発電所の揚水運転など運用上の工夫を最大限実施しても供給力が需要を上回ってしまう場合に行われる。軽負荷期となる今秋にも、九州本土で初めて実施される可能性がある。
 離島を除く九州電力エリアの太陽光導入状況(今年3月末)は、接続可能量817万キロワットに対して697万キロワット。九州電力は秋頃に750万キロワットに達すると見込んでいる。

(電気新聞2017年6月2日付3面)