◆川内原子力が供給力支える
◇8月予備率、9.3%を確保/松浦2号、19年末運開へ
2015年に再稼働を果たした川内原子力発電所1、2号機(PWR、計178万キロワット)は安定運転を継続し、今夏の供給力を支える。三反園訓鹿児島県知事の要請を受けて始まった「自主的な特別点検」でも、16年4月に発生した熊本地震による異常は確認されなかった。16年10月に定検入りした1号機は17年1月に通常運転に復帰。16年12月に定検入りした2号機は17年3月に通常運転に復帰し、ともに安定供給に貢献している。
電力広域的運営推進機関が4月21日に発表した今夏の電力需給想定によると、2013年度並みの猛暑の場合、7月は最大電力需要1606万キロワットに対し、1779万キロワットの供給力を確保。予備率は10.7%(予備率172万キロワット)。8月の最大電力需要は1606万キロワットに対し、1755万キロワットの供給力を確保している。予備率は9.3%(予備力149万キロワット)。9月の最大電力需要は1468万キロワットで供給力が1619万キロワット。予備率は10.3%(予備力151万キロワット)を確保できる見通し。
今夏も国による節電要請は実施しないものの、電源脱落などの事態に備え、電気事業者に対して発電設備などの保守・保全を強化するよう要請している。
4月に公表した17年度電源開発計画では、川内原子力1、2号機の再稼働や新大分3号系列第4軸(LNGコンバインドサイクル、暫定出力45万9400キロワット)の運転開始による需給の安定を踏まえ、苅田新2号(37.5万キロワット)の廃止などを盛り込んだ。
一方、松浦発電所2号機(石炭、100万キロワット)は19年12月の営業運転開始を目指し、建設工事が進んでいる。発電方式は商用機最高レベルの「超々臨界圧(USC)ボイラー」を採用し、熱効率を向上させている。環境保全設備は1号機に比べてより環境性の高い機器を採用しており、硫黄酸化物や窒素酸化物といった排煙中の汚染物質を低減している。
(電気新聞2017年6月26日付18面)