◆エネ基本計画に反映へ
経済産業省は、2050年の長期を見据えたエネルギー政策の在り方を議論する有識者会議を立ち上げる。早ければ7月に初会合を開き、東日本大震災後のエネルギー情勢の変化を踏まえた政策の方向性を探る。議論の成果はエネルギー基本計画の見直し検討のほか、パリ協定の発効を受けて国連に提出する「長期温室効果ガス排出削減戦略」の策定議論にも生かしたい考えだ。
有識者は産業界、学界などからエネルギー分野に偏らず幅広く人選する。会合は今年後半にかけて定期的に開く予定。省庁横断的な議論も醸成する。
東日本大震災からの約6年間で、世界のエネルギー情勢は大きく変化した。シェールガスなど資源価格や原子力開発の動向、再生可能エネルギーの導入加速、パリ協定に代表される温室効果ガス削減の新しい枠組み発足などで、今後、国内のエネルギー産業が影響を受けるのは必至だ。
有識者会議では、こうした変化に目を配りながら、電力・エネルギー産業をどう強化していくかといった観点からも検討を深める見通し。原子力の将来像もテーマになる可能性がありそうだ。
政府は、14年に現行の第4次エネルギー基本計画を策定。翌年には30年度の電源構成目標が示され、原子力比率は20~22%、再生可能エネルギー比率は22~24%、火力比率は56%程度と定めた。
エネルギー政策基本法では、同計画について「少なくとも3年に1度内容を検討し、必要に応じて変更する」と規定している。有識者会議の進捗をにらみながら、経産省では今後、別の会議体で計画見直しの検討を進めるとみられる。
また、昨年11月のパリ協定の発効を受け、政府は50年を見据えた長期温室効果ガス排出削減戦略を国連に提出する必要がある。
20年が提出期限と定められており、経産省と環境省ではそれぞれたたき台を提示。政府内では、エネルギー基本計画の見直し議論後に同戦略策定の検討に進むとの見方が強まっていた。
(電気新聞2017年6月27日付1面)