政府は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に適性がある地域を日本地図に落とし込んだ「科学的特性マップ」を7月中に公表する。世耕弘成経済産業相が18日の閣議後会見で明言。マップ提示は「最終処分の実現に向けた長い道のりの最初の一歩だ」と述べた。提示後はあらためて全国規模の説明会を開き、マップの意義を周知していく方針だ。
世耕経産相は会見の中で月内にマップを提示する考えを明かし、「提示後もさらなる対話活動を積み重ねていきたい」と強調。「国民の皆さまに理解を頂きながら、一歩ずつ着実に進める」と語った。
経産省・資源エネルギー庁では、マップの意義や位置付けを周知するとともに、処分地受け入れの判断を自治体に迫るものではないことなどを伝える目的から、原子力発電環境整備機構(NUMO)とともにあらためて全国規模の説明会を開く。その後、技術的な要件・基準に照らし、マップで適性があるとされた地点から複数箇所を選び、2年程度の文献調査に移る予定だ。
マップは日本地図を4色に塗り分ける。火山・活断層の近傍、隆起・浸食が大きいエリアなど一つでも要件・基準に当てはまる場合は、「好ましくない特性があると推定される」と除外され、油田・ガス田なども将来的に掘削される可能性があるため、適地から外される。
いずれにも該当しない範囲は「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」と区分。沿岸海底下や島しょ部を含め、海岸からの距離が短いエリアは輸送も容易なことから、「輸送面でも好ましい」と分類する。
当初、エネ庁は地層処分に適性のある地点を「科学的有望地」とし、2016年中にマップを提示する予定だった。ただ、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の有識者会議で、有望地という呼び方では誤解を招く恐れがあるといった指摘が相次ぎ、議論を継続。今年4月に技術的な要件・基準を固め、自治体向けのシンポジウムや説明会を進めていた。
(電気新聞2017年7月19日付1面)