エネコミ

2017年8月配信

2017年 8月18日
16年度の電源構成、原子力わずか2%/「30年度20%」の達成遠く

 電源構成に占める原子力発電の比率が、2016年度は2%にとどまった。経済産業省が推計した。政府は14年に策定したエネルギー基本計画に基づくエネルギーミックス(30年度の電源構成)の中で、原子力比率20~22%という目標を掲げている。17年度以降は関西電力高浜発電所3、4号機の稼働実績や、再稼働への道筋が見えてきた大飯発電所3、4号機、九州電力玄海原子力発電所3、4号機の稼働分の上積み効果が期待されるものの、目標達成には厳しい現実が浮き彫りになっている。
 現行のエネルギー基本計画上の原子力比率は、30基強が80%程度の設備利用率で稼働するという条件で成り立っている。政府は既存の原子炉が稼働すれば目標を達成できるとして、「(現行計画の)骨格を基本的に変えることはない」(世耕弘成経産相)との見方を示している。総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)基本政策分科会で9日に始まった基本計画の改定作業でも世耕経産相は同様の見解を述べた。
 政府は、原子力規制委員会の審査をクリアしたプラントは再稼働させる方針。だが、PWR(加圧水型軽水炉)が軒並み審査をクリアしているものの、再稼働を果たしたのは5基にとどまる。10基申請済みのBWR(沸騰水型軽水炉)は一基も合格しておらず、未申請プラントもPWR、BWR合わせて19基ある。
 こうした実態から「30基強」の再稼働という「前提自体が楽観的だ」(関係者)との見方もある。「既設炉の中には廃炉を選択するプラントもあるだろう。どこかが廃炉を選択すれば、ドミノ倒し的に同じ判断が出てくる可能性もある」(同)という。
 原子力を取り巻くビジネス環境に不透明さが拭えない中、この関係者は「(原子力を抱えることの)リスクを最小化しようという経営判断があり得る」と指摘する。

(電気新聞2017年8月18日付1面)