エネコミ

2017年10月配信

2017年 10月12日
[特集]火力発電総合(18)九州電力

◆松浦2建設が本格化/工程前倒し、19年末運開

 九州電力松浦発電所2号機(石炭、100万キロワット)の建設工事が本格化している。2019年12月の運転開始に向けて工事は順調に進捗しており、ボイラー鉄骨、タービン建屋、煙突の組み立てが完了。現在、ボイラー本体の組み立てに取り掛かっている。
 来春にはタービン、発電機の据付を開始する計画で、ボイラーの耐圧試験は来夏になる見込みだ。

 ◇自由化見据えて
 松浦発電所2号機は、出力を100万キロワットに変更し、01年3月に着工した。しかし、電力需要が想定より伸び悩んだことなどが理由で04年6月に工事を中断。その後、16年4月からの電力の全面自由化を見据え、16年1月に建設工事を再開した。
 再開時点では営業運転開始を20年6月としていたが、少しでも早く競争力のある電源を確保するため、建設工程を6カ月前倒しして、19年12月の営業運転開始を目指している。
 松浦2号機は、商用機最高レベルの「超々臨界圧(USC)ボイラー」を採用し、熱効率を向上させている。1号機に比べてより環境性の高い機器を採用しており、硫黄酸化物や窒素酸化物といった排煙中の汚染物質を低減している。
 また、電力自由化を踏まえ、設備の合理化を実施。補機の予備台数の削減や蒸気タービンへの溶接ローター採用などを行った。そのほか、1号機で採用していたDSS(毎日の起動・停止)機能を2号機では採用しないなど、徹底して設備の簡素化・合理化を行い建設費の低減に努めている。

 ◇需給維持に細心
 九州エリアでは、再生可能エネルギーの導入量が増大している。離島を除く九州エリアの接続状況は、太陽光が747万キロワット、風力が49万キロワット(8月末現在)となっている。
 こうした状況に対応するため運用性の高いLNGコンバインドサイクルを早朝に停止し、太陽光の出力が低下する夕方に起動するなどして需給バランス維持に向けた運用を行っている。
 電力需要が減少する春・秋は、出力が不安定な太陽光が需要に占める割合が増加する。ゴールデンウイーク(GW)期間中の4月30日午後1時には770万キロワットの需要に対し、太陽光出力は565万キロワットで、需要の73%を占めた。
 九州電力は、8台ある揚水発電所の全てで揚水運転を行った。新大分発電所(LNGコンバインドサイクル、14軸、約280万キロワット)は運転台数を最小限にして、最低出力運転を実施。新小倉発電所3、4、5号機(LNG、60万キロワット×3基)は全基停止した。苓北発電所1、2号機(石炭、70万キロワット×2基)や松浦発電所1号機でも出力抑制などの対応をとり、需給バランスを確保した。

(電気新聞2017年10月12日付13面)